[Adjust 最新インタビュー]CEOが語る、SKAdNetwork4.0における変更点と今後の方針
Appleは今年6月に開催した開発者会議(WWDC 2022)にて、SKAdNetwork APIのアップデートを発表。...(続きを読む)
モバイル広告に大きな影響を与えるiOS14のアップデート。今回のiOS14.5へのアップデートに伴い、 2021年4月26日以降、すべてのアプリを対象に、ユーザーのトラッキングやユーザーのデバイスの広告識別子へのアクセスについて、AppTrackingTransparency(ATT)のフレームワークを通じてユーザーの許可を得ることが求めらることになります。
APP BRAINでは昨年より、ATTフレームワーク導入に伴う変化や対応に関する情報を記事やウェビナーなどを通してお届けしてきましたが、これから対策を始めるアプリマーケターは、iOS14がビジネスに与える影響を理解し、どのように対策を行っていくべきなのか改めて確認していきましょう。
目次
iOS13以前までは、広告識別子であるIDFA(Identifier for Advertisers)がデフォルトで取得可能でしたが、iOS14ではAppTrackingTransparency(ATT)のフレームワークを通じてユーザーの同意がないとIDFAが取得不可となります。
ユーザープライバシー保護を強化する目的で導入されたIDFAの取得制限により、従来取得できていたデータが取得しにくくなるため、正確なインストールデータやユーザーのアプリ内行動・収益等の計測精度が低下し、アプリの広告効果が悪くなるとされています。
また、IDFAターゲティングは、広告の出稿側と配信側の双方で許諾が取れているときしかできないため、従来のターゲティング方法はほぼできないと考えたほうがよいだろうと言えます。
IDFAマッチングで広告IDが取得できないケースの代替策として活用されてきたフィンガープリント計測ですが、Appleは明確に禁止しており、今回の発表でも以下のように伝えています。
個別のユーザーを識別する意図でデバイスや使用状況に関するデータを収集することやフィンガープリンティングは、引き続きApple Developer Program使用許諾契約違反となります。
AppTrackingTransparencyの要件への対応について|Apple
こうしたユーザーのプライバシー保護を目的とするAppleの方針により、iOSアプリで今までのように広告のデータが計測できなくなるのに対し、新たな計測手法として「SKAdNetwork」が提供されます。
参考:迫る『IDFA問題』へ対応するためにアプリマーケターが抑えておくべき変化|SGMS×APP BRAIN共催ウェビナー
過去に広告主のサービスに訪れたことがあるユーザーに対して、広告ネットワーク内の配信面で再度サービスを訴求喚起するリターゲティング・リエンゲージメントは、ユーザーごとの正確なトラッキングありきでした。
アプリ広告では主に休眠復帰で利用されており、各ユーザーの詳細な行動データに基づく広告配信のため、IDFAに変わる精度の高い広告識別子、計測手法が開発されない限り今後の活用は難しいでしょう。
【まとめ】ATTフレームワーク導入後の計測では、
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IDFAを使用しないSKAdNetwork計測は、リアルタイムでの効果計測ができないほか、制限が多く従来と同じ粒度での効果分析が難しくなります。
しかし、iOS14アップデート以降もアプリビジネスを成長させるには、複雑なSKAdNetworkの仕様を理解し、自社のアプリに適した計測手法を見つけることが不可欠です。
【まとめ】SKAdNetworkの特徴
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ここでは、SKAdNetworkの特徴である「コンバージョン値(Conversion Value)」をピックアップし、理解しておくべき基本構造、計測に役立つ考え方やヒントをいくつかご紹介します。
コンバージョン値とは、広告の費用対効果を改善するための指標です。
ひとくちにコンバージョンと言っても、その種類は様々です。たとえば、「ユーザー登録」「課金」などは同じ「コンバージョン」にあたるかもしれませんがが、その価値は異なります。
こういった実際には価値の異なるアクションをまとめて「コンバージョン」として捉えてしまうと、広告の費用対効果を正しくチェックすることができません。そこで、各コンバージョンに値を割り当てる必要がでてきます。この割り当てる値が「コンバージョン値」です。
コンバージョン値は様々なオンライン広告で使用されていますが、SKAdNetworkではAppleからアドネットワークへポストバックで送信され、トラッキングしたコンバージョンに0~63までのコンバージョン値を割り当てることが可能です。仕組み自体は非常にシンプルなものであり、その他のコンバージョン値と比べて難しいものではありません。
ただ、SKAdNetworkの場合はそのままの仕様ではインストールに関するデータしか確認することができません。ユーザーがアプリ内でどういう行動をしたのか、たとえばチュートリアルを見たのか、課金をしたのかといったことを知るためにはコンバージョン値を設定する必要があります。
SKAdnetworkのコンバージョン値は、仕組み自体は複雑なものではありませんが、いくつか注意すべき点があります。
SKAdNetworkには、ユーザー情報を守るため独自のタイマー設定がされています。このタイマー機能では、ユーザーがアクションを行うたびにタイマーがリセットされるため、データが反映されるまでにかなりの時間がかかります(リアルタイムの計測不可)。インストールから24時間以上が経過すると正確な計測が難しくなるほか、媒体へのポストバックは1度しか受け取ることができません。
コンバージョン値は、0~63の値で最初に記録した値から大きくしていくことしかできません。
たとえば、ユーザーが通常アプリをインストールして最初に行うコンバージョンが「ユーザー登録」だったとします。これに「10」というコンバージョン値を割り当てます。次に「ユーザー登録」をしたユーザーは「チュートリアル」を開始します。「チュートリアル」を同じくコンバージョンとして記録したい場合、これには先程の「10」より大きい数字、たとえば「11」「12」といった数字しか割り当てることができません。
SKAdnetworkでは、トラッキングしたコンバージョンに0~63までのコンバージョン値を割り当てることができます。逆にいうと0〜63までの64種類の値しか使用することができないため、「売上と行動を組み合わせた細かいデータを取る」といった複雑で大量のデータを取ることは難しくなります。
また、コンバージョン値を使えばユーザーのおよその課金額を取得することができますが、この場合も「100〜300円までの課金ユーザーは1、301〜1000円までの課金ユーザーは2、…」というように0〜63までの64種の数字を割り当てる形になります。そのため、これまでのようにユーザーの正確な課金額を取得することはできません。
次に、コンバージョン値を設定する前に確認しておくべきことを4点ご紹介します。
コンバージョン値を設定する際に最も重要となるのはビジネスモデルです。アプリがサブスクリプションモデルなのか、広告収益なのか等によってコンバージョンを設定するポイント、割り当てるべき値が変わってきます。値を設定する前に、まずは「何で収益を得ているアプリなのか」を明確にしましょう。
自分のアプリのカテゴリや業界を明らかにすることで、他社のコンバージョンポイントなどを参考にすることができます。これも値設定の前に必ず確認するようにしましょう。
これまで広告をどう最適化していたかを確認します。ATTフレームワーク導入によりiOSは広告の仕組みが大きく変わるため、以前同じ設計で配信することが効果的とは言えません。しかし、その場合もまずは「過去にどのような配信をしてきたのか」「どう最適化していたのか」を確認し、今後参考にできる部分がないか把握する必要があります。
アプリの最初のセッションで「価値が高いユーザー」と「そうでないユーザー」を区別する方法を考えます。最初のセッションだけではデータが少なく難しい部分もありますが、SKAdNetworkでは媒体へのポストバックを1度しか受け取れないため、「価値が高いユーザーはチュートリアルを一定のポイントまで突破している」など、現在のデータを元にある程度分析しておくと、コンバージョン値設定の際に役立ちます。
では、実際にはどうコンバージョン値を設定するのがよいのでしょうか?
最もシンプルな方法は、イベントをトラッキングして、そこにコンバージョン値(0~63)を直接割りあてるというやり方です。たとえば
サインアップ:10
トライアル開始:20
サブスクリプション開始:30
といった形でコンバージョン値を設定します。コンバージョン値はだんだん大きくなる必要があるため、この場合ユーザーが最も早い段階で行う「サインアップ」を一番小さい数字にします。
また、ここで先ほど確認した「初期段階でのユーザーの分類」のデータを使うことが可能です。「チュートリアル突破」など、価値があるユーザーがよく行うイベントにコンバージョン値を設定するという方法です。
ただし、冒頭でも記載したようにSKAdNetworkには複雑なタイマー機能がついています。そのため、インストールから24時間以上経ってから行われるイベントにコンバージョン値を割り当てることは、現実には分析が難しくあまりおすすめできません。
そのため、アプリによっては難しい部分でもありますが、できるだけ最初の24時間以内のイベントを通じて「価値があるユーザーか、そうでないか」を判別し、コンバージョン値を割り当てていくようにしましょう。
より詳細な設定を行いたい場合は、6bitを割り当てる設定がおすすめです。
コンバージョン値に使うことができる0〜63の数値は、プログラム上は0や1といったデジタルの信号形式(バイナリ)によって成り立っています。そのため、0〜63という数値を「6bitの情報」として考え、「2bitをAというコンバージョンの測定に、残り4bitをBというコンバージョンの測定に」という形で、より多くの種類のコンバージョンを計測することが可能です。
たとえば、51というコンバージョン値は実際にはプログラム上では「110011」として処理されています。これを「11」と「0011」に分けて、それぞれ違うコンバージョンの測定に使うことが可能です。
参考:https://www.algolift.com/blog/the-optimal-usage-of-conversionvalue-in-skadnetwork/
以下は、Singular社が提唱しているコンバージョン値の設定方法で、いくつかの例が紹介されています。
参考:https://www.singular.net/blog/skan-skadnetwork-implementation/
・2bitを「インストールからの日数」に割り当てる
・4bitを「アプリ内での課金(アプリによっては広告収入)」に割り当てる
・任意のbitを「アプリを開いた日数」に割り当てる(アプリを開くたびにコンバージョンを記録する)
・毎日アプリを開いている場合のみ「継続」とする
・指定のbitを「アプリを開いた日数」に割り当てる(アプリを開くたびにコンバージョンを記録する)
・残りのbitを「アプリ内での課金(アプリによっては広告収入)」などに割り当てる・3bitを「インストールからの日数」に割り当てる
・3bitを「指定のイベント」に割り当てる
・アプリ内でのユーザー行動のプロセスを作る
例:イベントA → およそ2日 → イベントB
・2bitを「イベントAからイベントBという行動に移るまでの日数」に割り当てる(2bitの場合、最大で4日まで計測可能)
・4bitを「指定のイベント」に割り当てる
上記は一例ですが、この6bitを使用した方法の場合は実際には6bit分を使いきらずに、十分なデータが計測できる可能性があります。その場合、インストールの時間帯やインストールされた地域ごとにコンバージョン値を割り当てて、より精度の高い分析を行うという方法もあります。
SKAdNetworkはAppleが提供するソリューションですが、SKAdNetwork専用の管理画面は用意されていません。広告主はMMPが提供する管理画面でデータを確認することになります。
MMP側ではSKAdNetworkの分析に独自の技術を開発し提供しているので、導入している(これから導入を検討している)MMPの内容を参考にご確認ください。
なお、SKAdNetworkを導入した場合、レポート画面は「これまで使用してきた(フィンガープリント計測の)レポート」と「SKAdNetwork計測のレポート」の2種類に分かれます。将来的にはSKAdNetworkに統一されるだろうと言われていますが、当面の間はMMP計測とSKAdNetwork計測を併用して見ていくようにしましょう。
詳細はこちら https://app-brain.net/blog/marketing/5041/
詳細はこちら https://app-brain.net/blog/marketing/5023/
SKAdNetworkはまだ各所で導入が進んでいる段階のため、ここに挙げたコンバージョン値の設定の例もほんの一部にすぎません。継続してSKAdNetwork計測におけるコンバージョン値の最適化を図り、実際のデータをもとにコンバージョンポイントや値を見直し、改善していくことが必要です。
今後はIDFA取得済みのユーザーのデータ(MMP計測)と、同意が得られずIDFAが取得できなかったユーザーのデータ(SKAdNetwork計測)の両方を見ていくことになるため、各媒体の評価指標がそれぞれ異なることにも注意しましょう。SKAdNetworkにおいてはLTVやROASの評価が難しいとされていますが、IDFAマッチングで計測した部分から全体を推測することをお勧めします。
APP BRAINでは今後も引き続き、SKAdNetworkに関する最新情報をはじめ、ベストプラクティス(コンバージョン値の設計)、MMP関連のソリューションなど、アプリマーケティングに役立つトピックを発信してまいります。
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