【Apple Search Ads 活用事例 vol.3 】コンテンツ獲得からの脱却!小学館『マンガワン』が導き出した定着ユーザーの獲得戦略

【Apple Search Ads 活用事例  vol.3 】コンテンツ獲得からの脱却!小学館『マンガワン』が導き出した定着ユーザーの獲得戦略

株式会社 小学館

2018年夏から日本でも提供されている「Apple Search Ads(以下、ASA)」は、App Storeの検索結果の最上部に表示される検索連動広告で、効率的にユーザーを獲得できるAppleの広告メニューです。APP BRAINでは、このASAを活用して課題を解決し、高い成果に繋がったアプリディベロッパーを取材。

今回のインタビューは、小学館の漫画アプリ『マンガワン』。出版社が手掛けるサービスとして、ここでしか読めない多数のオリジナル作品を日々連載形式で更新しています。

漫画業界における送客手法といえば、いわゆる人気作品と連動させたディスプレイ広告が中心で、常にコンテンツとの連動が前提とされてきました。ユーザー獲得がコンテンツに左右される傾向にあるなか、ASAを活用し継続率の良いユーザーを獲得するために同社が実行した戦略とは。コンテンツに依存しない新たな獲得方法について、小学館の和田様と『マンガワン』アプリの運営・開発行うLink-Uの矢ノ目様にお話を伺いました。

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右:小学館 和田 裕樹氏(マンガワン編集部 編集長)
左:株式会社Link-U  矢ノ目 亮氏

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『マンガワン

2014年12月4日にリリースされ、現在までに2,000万ダウンロードを突破する漫画アプリ。出版社系漫画サービスにおいてユーザー数No.1を誇る。2019年にアニメ化された『ケンガンアシュラ』や異能力バトル漫画『出会って5秒でバトル』、バツイチアラサー×男子高校生の恋愛を描いた『プロミス・シンデレラ』など、小学館の漫画を中心に出版社の垣根を越えた他社作品も随時掲載し、「新しい漫画プラットフォーム」を目指している。【iOS/Android】

コンテンツ勝負のディスプレイ広告に限界を感じ、ASAで継続率の高いユーザー獲得を狙う

―ASAを導入される以前はどのような手法でユーザーを獲得されていたのでしょうか。

和田さん:FacebookやTwitterなどSNS系とGoogle Adsをメインに使っています。漫画サービスの集客では、取り扱うコンテンツに左右される傾向にありますので、アプリそのものの魅力を訴求するより、ターゲット層が好みそうな作品から引きのある1シーンを使ってユーザーを呼び込むという形が業界では一般的ですね。

ただし、アプリ内で読まれている漫画や知名度のある漫画が必ずしもプロモーションに適しているかというとそうではありません。我々は出版社ですのでまだ世の中的に知名度が低いオリジナル作品をいかに「面白そう」と思わせられるかが勝負どころ。

書店系アプリは当然有名タイトルを扱っていますが、『マンガワン』として他社と差をつけるために、作品やターゲットにあわせて月100パターン以上のクリエイティブでPDCAを回し最適化を行ってきました。しかし、常にコンテンツとの連動を必要とするユーザー獲得には限界があり、課題を感じていました。

―『マンガワン』が理想とするターゲットは、どのようなユーザーですか?

和田さん:数年という長期的なスパンでアプリを起動してくれるユーザーです。漫画アプリの現状として、ユーザーが複数のアプリを使い分け、併用しているという前提理解もあるので、好きな作品が読み終わっても別の作品を読むことで使い続けてくれるような、長期間で継続率の高いユーザーをアプリに定着させることが収益化に一番繋がりやすいと考えています。

矢ノ目さん:漫画アプリは、ゲームアプリのようにヘビーユーザーが重課金するものではないので、好きな漫画を全部読んだとしても何十万円も使うようなビジネス構造になっていません。少額でもよいので長く読み続けてくれたり、知り合いに広めてくれたりと、アンインストールせず持続的に利用してくれるユーザーを獲得できれば、そこに収益化のチャンスがあるので大事にしたいですね。生活サイクルの中で日常的に『マンガワン』を開く習慣が定着している人ほど、理想のユーザーと言えます。

―従来のやり方で獲得したユーザーは必ずしもそうではないと。

和田さん:はい、特定の漫画のクリエイティブから入ってきているので、読みたい漫画(目的)が明確なユーザーがほとんどですね。ダウンロード後の初動は当然良いのですが、結果として長期の継続には結びつかない場合もありました。

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ダウンロード後にユーザーを定着させる施策の1つとして、漫画を読むために必要なライフ(ポイント)を初回ボーナスとして多めに付与し、インセンティブを消費する期間のうちに他の漫画への誘導をかけつつ、ユーザーの読書体験自体の質を高めようとを取り組んできました。しかし、これは根本的な課題解決にはなっておらず、定着してくれるユーザーの獲得手段を探していたところ、コンテンツではなくキーワードでユーザーを獲得できるASAの特性に着目し、施策を実行してみることにしました

 

 課題と目標 『マンガワン』

 ■コンテンツとの連動が不可欠で、獲得したユーザーを長期に定着できない場合がある

 ■長期継続率の高いユーザーの獲得

キーワードで純粋な漫画好きにアプローチができる、ASAならではの価値

―ASA導入の経緯を教えてください。

和田さん:我々が期待していた点としては、Apple IDというApple独自のユーザー情報が得られることと、ユーザー視点で広告からダウンロードまでが最も近いこと、そして他の媒体とは異なりコンテンツに左右されることなくキーワードでユーザーを獲得できる媒体であることが挙げられます。2019年3月に導入し当時は代理店を通して運用していたのですが、自分達の仮説を元に施策を行う時期にあわせ、11月頃からインハウス化を進めていきました。

―今回の施策内容についてお聞かせください。

矢ノ目さん:ASAはコンテンツに依存せず、「漫画」「マンガ」などキーワードでユーザーを獲得できることから、他媒体と比べて純粋な漫画好きを獲れているのではないかと仮説が立ち、これを検証するため、『マンガワン』5周年イベントを展開する2019年12月にASAの予算割合を増加し、媒体ごとに比較してみようと考えました。我々のマーケティングにおける最重要指標である、ダウンロードから3日後の継続単価(CPD3)での比較です。。

―キーワードについて具体的な戦略はありましたか?

矢ノ目さん:今回の施策ではコストよりもキーワード確保を優先し「漫画」「マンガ」「暇つぶし」や「無料漫画」などのビッグキーワードを中心に、「マンガワン」や「マンガワン」関連作品のブランドワードに注力しました。ブランドワードに関しては、競合他社にも買われている部分もあった為、そこは自分達である程度押さえておきたい気持ちがありましたね。

その他にも競合系のワードやユーザーの検索に基づく調査系も含め、従来よりキーワードの幅を広げてみたことで、今後の運用改善に活かせるデータを集められたと感じています。

 

 仮説と戦略 『マンガワン』

 ■ASA経由で獲得したユーザーはコンテンツに依存しない、純粋なマンガ好きで継続率が高いのではないか

 ■ASAと他媒体で獲得したユーザーを「ダウンロードから3日後の継続単価」で比較

検証の結果、最も継続率が高いユーザーは「再ダウンロード」だった

―実際にASA経由で獲得できたユーザーと他媒体で違いはありましたか?

矢ノ目さん:ASAで獲得したユーザーを調査した結果、他媒体との比較においても圧倒的にパフォーマンスがよかったのは「再ダウンロード」ユーザーでした。

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ASAの特性として、IDFA(Identifer For Advertising:広告識別子)ではなくApple IDベースでのユーザーデータを取得できるので、機種変更等に依存せずそのユーザーが初回のダウンロードなのか過去にダウンロードしたけれど一度アンインストールしているユーザーなのかを切り分けられます。今回の結果は分析によって判明したことで、ここまで明確な差異が生じたのは我々としても予想外の発見でした。

比較した全媒体の中で、ASA経由での再ダウンロードが最もCPD3のパフォーマンスが良く、全体平均CPD3の70%程度でユーザーを獲得できていました。背景としては、再ダウンロードユーザーは以前に読んでいた作品の続きの話を読んだり、アプリ自体の仕様やルールを既に理解していることが考えられます。ちなみに、『マンガワン』では再ダウンロードユーザーの方が新規ユーザーよりも課金率や定着率が良い傾向にあるという一般的な傾向はAppleさんからも伺ったことがありました。

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―この結果を踏まえ、今後どのような戦略を考えていますか?

矢ノ目さん:今回、App Storeでの検索ワードごと、ダウンロード属性ごとのパフォーマンスが見えてきたので、App Store上でのビジュアルとしてのクリエイティブにも踏み込み、より緻密な最適化に取り組みます。

 

 成果 『マンガワン』

 ■他媒体と比較して、ASA経由で獲得した再ダウンロードユーザーのパフォーマンスが圧倒的に良かった

リリースから5年、媒体を効果的に“使い分ける”獲得戦略でさらなる成長へ

―ASAはターゲットを再ダウンロードに絞って使うということでしょうか?

矢ノ目さん:そうですね、『マンガワン』はリリースから5年を迎え、日々のダウンロードの過半数が再ダウンロードとなっているフェーズなので、そこに効率よくアプローチできる手段としてASAがハマることに気づけたことが今回一番の収穫でした。新規ユーザーに対しては引き続きコンテンツを活用した広告で訴求しつつ、再ダウンロードに関してはASAを効果的に使っていきたいと考えています。

和田さん:再ダウンロードにも新規ダウンロードと同等にコミットする価値があるというのは、漫画アプリ特有のポイントだと考えています。例えばゲームの場合、クリアしたとか飽きてしまったなどやめる理由がはっきりしていますが、漫画は常に新しい作品があり、続編が生まれ、読み返したいと思うタイミングが繰り返しありますよね。

ユーザーの心理を考えると、ちょっと暇ができて「漫画を読もう」と思った時にApp Storeで漫画を探した時、『マンガワン』が出てきたから使う。一度アンインストールしたとしても、また「漫画が読みたい」と検索した時に思い出して再ダウンロードにつながる。そういったサイクルが生まれるのは、やはりASAにしかできないことです。

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―最後に、今後ASAを活用してやってみたいことをお聞かせください。

和田さん:ASAでこそ知ることができるインストール属性を考慮し、今回発見した再インストールユーザーのような金脈をどんどん探し当てていきたいですね。運用をインハウス化したことで、データを元に自分達で仮説を立てて実行できる環境になったので、積極的にトライしていきたいと思っています。

ー本日はありがとうございました

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