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X-LEGEND ENTERTAINMENT JAPAN 株式会社
2018年夏から日本でも提供されている「Apple Search Ads(以下、ASA)」は、App Storeの検索結果の最上部に表示される検索連動広告で、効率的にユーザーを獲得できるAppleの広告メニューです。
今回APP BRAINでは、このASAを活用して課題を解決し、高い成果に繋がったアプリディベロッパーを取材。
第1回目は、MMORPG『Ash Tale-風の大陸-(アッシュテイル)』を手掛けるX-LEGEND ENTERTAINMENT JAPAN株式会社。リリース後さらなるユーザー獲得施策としてASAを導入し、予算配分を行ったことにより圧倒的なLTVと質の高いユーザー獲得を実現した戦略を取締役社長・陳 建文氏とマーケティング担当・三室氏に伺いました。
X-LEGEND ENTERTAINMENT JAPAN 陳氏(取締役社長)・ 三室氏(モバイル運営部)
『Ash Tale-風の大陸-(アッシュテイル)』(以下Ash Tale)
2019年4月リリース。可愛いグラフィックと世界観が特徴的なMMORPGで、全世界1000万ダウンロードを記録(2020年2月時点)。MMORPGは30代男性が中心だが、“絵本のような癒しRPG”で差別化を図ったことで女性からの人気が高いゲームアプリ。【iOS/Android】
目次
―Apple Search Adsはいつから導入されましたか?
陳さん:2019年の5月頃です、事前登録のタイミングではASAを導入していませんでした。
―リリース時の配信状況とASAを導入した背景について教えてください。
陳さん:『Ash Tale-風の大陸-』は当初のマーケティングプランに基づき、多くの媒体に満遍なく配信し事前登録~リリース後まで順調にユーザーを獲得できていました。そこで獲得したユーザーを分析したところ、iOSのユーザーの比率が非常に高いことが分かったんです。
広告経由での獲得はどうしても媒体ありきな部分があります。他社タイトルにおけるユーザー構成は分かりませんが、『Ash Tale-風の大陸-』には特定のOSに絞った獲得施策が戦略的に必要だと考え、iOSに絞って獲得を最大化させるための手段としてASAを導入することにしました。
三室さん:もう1つ課題としてあったのが媒体の質です。SNS系・GAC(Googleアプリキャンペーン)・ネットワーク系広告媒体など幅広く出していたのですが、運用を開始して2ヶ月が経過したあたりからアドフラウドが気になりはじめ、ROASがつかない・リテンションの悪い媒体を削りつつ、どうやって新しい媒体を増やしていくかとても悩んでいました。
その点、ASAはストア上の検索広告なので、関心度が高く質の良いユーザーを獲得する手段としても期待していました。当時、代理店側で既に導入しておりましたが、自社でも運用できることを知りやってみることにしました。
課題と目標 『Ash Tale-風の大陸-』 ■ iOSに絞った獲得の最大化 ■ 質の高いユーザーを獲得できる優良媒体での獲得最大化 |
―既に代理店でASAを導入していたとのことですが、社内での導入はどのように進めたのですか?
陳さん:もともと社内にノウハウがなかったので、導入時はかなり慎重でした。最初に代理店側と打合せをして、予算の半分は引き続きお願いしつつ、残りの半分を社内で運用することからスタートし、運用ノウハウを社内に蓄積しながら成果の最適化を行っていきました。
また、代理店との獲得成果を比較することで、これなら全部自分たちでやれるんじゃないかというラインが見え、今ではASA運用を100%インハウス化できています。
―具体的にどのようなことに取り組みましたか?
陳さん:最初に行ったのはクリエイティブの改善で、より効果の高いものに変更していきました。その後、ASAで最も重要な要素であるキーワードに着手したものの、当時全く経験がなかったのでAppleさんに相談をしまして、アドバイスを受けながら最適化していきました。
三室さん:キーワードを選ぶ際、それまではゲームのジャンルや競合タイトルしか入れていなかったのですが、Appleさんから提案された中には「無料 ゲーム」「暇つぶし」といった一見我々のゲームと関係ないものであったり、実際にユーザーさんがストア検索時に使われたキーワードを見ると自分たちが想像していなかった表記の揺らぎが含まれていたりと、発見が多く新鮮でとても役に立ちました。
『Ash Tale-風の大陸-』は可愛らしい世界観なので「MMORPG」のようなコアゲーマーしか知らない単語よりも、「オンラインRPG」の方が弊社タイトルとの親和性が高く、良い成果に繋がりました。一方で、競合系のキーワードは親和性の高いタイトルが必ずしも成果が良いとは限らなくて、弊社ではジャンルだけでなく、育成ゲームやパズルなども含めゲームの世界観に近しいタイトルも幅広くキーワードに取り入れています。
それ以外にも頂いたアドバイスに従い、まずはブランドワードをしっかり押さえ、次に競合タイトル、一般的ワード、検索キーワードを追加した結果、改善後のキーワードボリュームは9倍に増えました。
陳さん:キーワード選定の部分でAppleさんにご協力頂けるようになってからは計測ツールで、ROASやリテンションを確認するだけでなく、他媒体とASAの成果比較を行うことでLTVも意識した運用に変更しました。
課題だった「iOSの獲得量を最大化する」ためKPIをROASから各媒体経由の獲得ユーザーのLTVから逆算し、より成果の良い媒体に予算を寄せていく戦略に切り替えることで、適切な投資の実現を目指すことにしたのです。
戦略『Ash Tale-風の大陸-』 ■媒体別LTVを算出し、そこから適切なCPIを決め、媒体アロケーションを実施 |
―運用開始時、ASA以外の配信媒体はどれくらいありましたか?
三室さん:導入を決めた時点で既にROASが良い媒体に絞っていたので、数でいうと約15くらいです。そこから全体の予算はほぼ変えず、成果の良い媒体へ予算を寄せていきました。
ASAは継続率・LTVともに常にトップレベルに成果が良く安定しており、主にアドネットワーク広告やSNS系からのアロケーションを行った結果、ASAへの予算比率は実施前後で約5倍近く増え、配信媒体数は約半分に減りました。
陳さん:完全に切った媒体もあれば、成果状況をみて徐々にASAへシフトさせていった媒体もあります。獲得数が少なくても継続率の良い媒体は残し、必要な分だけ予算を残すよう判断しました。
SNS系に関しては良いときはとても良いのですが、獲得成果が不安定な媒体だと以前から感じていた部分があり予算配分を大きく動かしたうちの1つです。
インハウス化以降、ASAに寄せた予算は右肩上がりに増えておりまして、今回の施策を通し、継続率・ROASの良い媒体へ長期的に配信していく為に必要なところに予算を回しやすくなったと感じています。
【比較】施策前後の成果を媒体別に比較(CV・コスト)
成果『Ash Tale-風の大陸-』 ■全体の広告予算を変えずに適切な投資を行うことでASA経由の獲得が増加。ASAがメイン獲得チャネルに ■ASA導入後、全体予算におけるASAの比率は2倍以上に増加 |
―導入してみて、ASAに感じた良いところについて教えてください。
三室さん:ASAはユーザーの関心がキーワードに現れるので、その点がやはり他の媒体にはなく優れていると確信が持てました。ストアを通じてユーザーさんの検索しているキーワードが分かると、ストアに掲載する際の説明文やメタキーワードの選定の際の参考になるなど、ASOの観点からみても利点を感じています。また、やはり配信媒体としてストアが効率的だと再認識しました。
―ASA導入からインハウス化まではどのくらいの期間でしたか?
三室さん:約2ヶ月でした。運用開始から1ヶ月後の時点で代理店側のROAS・リテンション・CPAとほとんど差がほとんどなかったので、これは自分たちでやれそうだと判断をしました。実際には代理店のCPAの方がちょっと安かったのですがマージンを考慮すると、結果的に弊社の獲得単価の方が安かったので、7月以降インハウス化して運用を開始しました。
陳さん:これまで代理店にお任せして自分たちにノウハウが蓄積されないことも課題の1つだったので、自分たちで柔軟に運用できる体制が社内に作れたのは非常に大きい価値だと感じています。
我々のアプリマーケティングにおける理想は、良い部分の7割を維持しつつ3割をチャレンジに当てられる状態だと考えており、今回は過去のマーケティング手法をリセットし体制から立て直しました。そういった意味でも本タイトルはASAの導入だけでなく、チャレンジングなプロジェクトとなりました。
―課題解決に向けた戦略によって、パフォーマンスを大幅に改善できたのですね。
陳さん:今回、我々の課題だったiOS獲得量の最大化と、LTVの高いユーザーの獲得に対しASAが最もパフォーマンスを発揮する媒体であると実感しており、今後も適切な予算投資を進め、アプリビジネスの成長を加速させていきたいと思います。
―以上
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