ポノス「カジュアルゲーム×マーケティング」からみるハイパーカジュアルゲーム参入の先に見据えるもの

ポノス「カジュアルゲーム×マーケティング」からみるハイパーカジュアルゲーム参入の先に見据えるもの

2019年10月、ポノス株式会社がハイパーカジュアルゲーム市場に参入したことを発表。ポノスと聞いて、『にゃんこ大戦争』をイメージする方も多いのではないでしょうか?2010年にガラケーのゲームとして配信開始し、その後スマホアプリへ移植、今年7周年を迎え累計ダウンロード数は4,700万を突破しています(201910月時点)。

 

▲にゃんこ大戦争(http://www.ponos.jp/games/thebattlecats/)

 

ハイパーカジュアルゲーム第一弾として『Ball Action』をリリースし、USAppStoreの無料ゲームランキング5位にランクイン。新規タイトルも開発中とのことで、早速ポノスさんへお話を伺ってきました。参入を決めた経緯や、ゲーム開発~リリースに至るまでのエピソードなどをお届けします。

村山 章 氏(ポノス株式会社 )

ガラケー時代よりゲーム関連事業に携わり、ポノス入社後はマーケティングを担当。にゃんこスタジオにジョインし、現在はハイパーカジュアルゲームのプロジェクト責任者も務めている。

カジュアルゲームで培ったノウハウを活かした挑戦

-まず最初に、ポノスさんがハイパーカジュアルゲーム市場に参入した背景について聞かせてください。

もともと、ガラケー時代からカジュアルゲーム事業をやってきており、オンラインプロモーションも自社で国内だけではなく全世界向けに行っていたので、ハイパーカジュアルゲームに参入する土台は既にありました。ポノスがこれまでやってきたカジュアルゲーム事業の延長で、ハイパーカジュアルゲームをやろうとスタートをしており、カジュアルとハイパーカジュアルというような切り分けはそこまで明確にしていないですね。あくまでもカジュアルゲームの延長線上で考えています。

とは言え、ハイパーカジュアルゲームは独特なビジネスモデルであるので、開発における違いはスタート段階から意識して進めています

今回、「Nトロフィースタジオ」からリリースされていますが、ポノスさんの中でどういう位置づけになりますか?

ポノス=『にゃんこ大戦争』という印象が強いかと思うのですがハイパーカジュアルゲームを担当しているスタジオは、「Nトロフィースタジオ」になります。

Nトロフィースタジオは、『SUPER STAR BTS』や『SUPER STAR SMTOWN』といった韓国の人気K-POPアーティストを起用したリズムゲームをパブリッシングして日本や台湾で配信する、パブリッシング事業からスタートしています。

なるほど。ポノスさんの中でそういった切り分けがされているのですね。

はい。ただマーケティング全般に関しては独立した専門チーム「マーケティング室」があり、『にゃんこ大戦争』も含め全てのマーケティングを横串で行っています。

ポノスが考えるハイパーカジュアルゲームとは?

-「ハイパーカジュアルゲーム」というと、誰もが楽しめるシンプルなルールで、広告で収益化するイメージを持っていますが、実際はどうなのでしょうか?

ハイパーカジュアルゲーム市場もこの1年で変化があり、1年ぐらい前ですとシンプルなモノを、スピード感を持って出していくような印象が強くあったと思いますが、現在はユーザーのゲームを遊ぶ選択肢も増えており、アプリ自体の数もかなり増えています。最近のUSのゲームランキングを見ると、約6070%は広告でマネタイズしているゲームで、その大半をハイパーカジュアルゲームが占めているように見え、こうした市場状況のなか、新規参入で成功させるのはそう簡単ではないと感じられるかと思います。

継続率も長く、ライフタイムバリュー(LTV)が高いゲームもどんどん増えてきていますが、その反面、以前なら15日~30日間くらいで収益回収していたのが、3日~7日程度で回収してしまうような短期回収型のゲームも増えており、ハイパーカジュアルゲームも二極化が進んでいるように思っています。

短期的に回収できるゲームはシンプルで開発コストも低そうに感じるかと思いますが、そのようなタイトルはランキングの上位を維持することが難しく、ランキングに残っていくカジュアルゲームというのは、新しいアイデアが感じられて、その独自性がきちんとユーザーに訴求できている必要があります。

ハイパーカジュアルゲームはシンプルなのでテンプレートのような、似ているなと思うゲームが多いですが、最初に独創的なアイデアを出せるかは非常に重要なポイントだと思っています。

-確かに、面白いタイトルを模倣したカジュアルゲームってどんどん出てきますね。

はい、ハイパーカジュアルゲームもリッチ化が進んでおり、独自性の強いオリジナリティのあるゲームが成功する傾向にあります。開発のスピード自体も早いですが、ゲームとしてもしっかり作り込まれている事は当然必要になります。

見極める判断は早い方がいい、スピードジャッジを可能にするフレームワーク

-海外のアプリディベロッパーさんのからも、「質と量の両方だ」という話は聞いたことがあります。とにかく作ってリリースして、その中でいけそうなタイトルをどんどん改善していくサイクルをものすごいスピードでやっていると。

そうですね、そういう意味ではポノスも同じです。プロトタイプみたいなものは1週間くらいで作ってテストマーケティングを行います。最初のテストマーケティングでは出てきた数字を見て、諦めるもの・一度置いておくもの・進行するものを見極めながら、ゲームとしてのクリエイティブな部分だけではなくゲーム内の数字分析もしながら改善を繰り返していきます

同時に複数のゲームをテストマーケティングし、テスト翌日には次のフェーズに進めるかどうかの判断することもあります。早ければテストした日に見極めて、進めない判断をする事もあります。

-早いですね・・・。どうしたらそのスピード感でジャッジができるのですか?

スタジオではマネタイズ要素などを設計したりテストマーケティングを行うメンバーと、ゲームを企画・開発するメンバーを完全に分けて役割を分担する事により、スピードと客観的な判断ができるチームを構築しております。

-作ったゲームのうち残る割合って実際どれくらいですか?

どれくらいでしょう、この1年でかなりの数のゲームを作ってきたので・・・(笑)。さきほどお話した通り、リリース後CPI的には進めていけそうでもなんとなく置いているゲームもあるので、ざっくり10%~20%程度じゃないかと思います。

-それは想定の範囲ですか?

はい、想定の範囲です。判断は早くしないと、作っている人が作り込めば作り込むほど諦めた時に疲弊すると思います。開発を進めていくなかでそうした判断をする為の基準となるフレームワークを作り進めており、数字分析的なことは勿論、プロトタイプに関しても一定の基準値を設けて進めております。

本プロジェクトを進めると決まってからは、リリースされているハイパーカジュアルゲームを遊び、インターネットで公開されている情報や、人から聞いた進め方みたいな情報もキャッチアップしました。ただネットに書いてある事や聞いた事をその通りにやってもうまく行かないだろうなと感じ、結局、この1年間はトライアンドエラーを繰り返しながら、自分たち自身のノウハウを蓄積し、フレームワークをバージョンアップさせるという流れでした。

マネタイズ側とクリエイティブ側、全員が「数字」を意識する

-『にゃんこ大戦争』との違いについても聞かせてください。

課金型のゲームなら、CPIを低くROASの高いユーザーを獲得し、その人達が継続してくれたらある程度売り上げが立ちますが、ハイパーカジュアルゲームの場合、1ユーザーあたりのLTVが低いので、利益を出そうと考えると、大量のユーザーを獲得しないといけません。獲得数を大きくスケールさせる為のマーケティングやプロモーションが事業構造の中の一部になっているので、ビジネスモデルが大きく異なると考えております。

アプリマーケティングで一般的によく言われる、CPILTVの差異が利益というのも事実ですが、ハイパーカジュアルゲームは広告でCPIを低く、獲得数を大きくできスケールできて初めてビジネスとして成立しますので、獲得単価だけではなくスケールも意識し、継続率やARPUなど全てが揃わないと成り立たないプロジェクトになります。

-大量のユーザー獲得が必要なハイパーカジュアルゲームの方がチューニングすべき要素が多いわけですね。

一概にそのようには言えませんが、ビジネスモデルの構造が異なると言うのが基本的な違いだと思っております。例えばゲームバランスでいうと、課金型ゲームで継続率を改善したいなら、ユーザーが離脱する地点をチューニングしたりします。

これがハイパーカジュアルゲームの場合、そもそもライフタイム(利用時間)が短いことを考慮し、ユーザーが離脱するような地点で、救済策としてリワードを受け取って次のステージに進んでもらえる仕組みを作って収益化しているので、改善する際にはその数字も一緒に見て分析しなければ全体のLTVが下がる可能性もあります。

ゲームとしては序盤で失敗せずもっと先に進めたほうが有効だとしても、ハイパーカジュアルゲームはユーザーが失敗してリワードを受け取る部分も含めゲーム体験として構築されないとダメなのです。

-ゲームをリリースする初期段階で、ユーザーがリワードを受け取る地点は誰が決めているのですか?

最初はゲームクリエイターが感覚でゲームバランスとしてこうあるべきだという形で作ります。その後テストマーケティングでユーザーが遊んだ動向から分析しマネタイズ設計担当が必要な要素を加えた形で再設計を行います。アプリのリリース後は、ゲーム内でのステージ進行などのユーザーの動向を、マネタイズ側の担当が分析しながら仮設を立て修正を繰り返し最適化を行う流れです。

クリエイティブ側の考えを更に数字分析する事で共通の会話ができるようになりマネタイズの数字が高まると共通の視点で面白さを感じる事ができますね。

-「ゲームとして面白いもの」を作り上げるクリエイターと、数字などのデータで会話する事に苦労はありませんか?

そうですね、マネタイズ担当側のオーダーに対して最初は「それは違うと思う」などのコミュニケーションも、もちろん多く発生します。ただ、結局どちらが正しいかはやってみないことにはわからないので、お互いの考えを伝えあい、数字をみて分析しながら最終的にABテストなどを行い結果共有するようにしています。

クリエイティブ側とマネタイズ側の意見を反映させた両方の結果を比較して、最終的に「こっちが正しかったよね」という答え合わせをするのがまたノウハウやお互いの信用に変わります。数字がこういうふうに変わったという根拠がある事で、クリエイティブ側の担当も「クリエイティブ×数字」という要素で今まで以上にプラスして次プロジェクトの事が考えられより質の高いプロダクトを作るノウハウになります。

-この1年間やってきて、皆さんのそういう意識って実際変わってきましたか?
はい、大きく変わりましたね。スタートした当初はたぶんゲームの企画・開発メンバーが「CPI」とか「LTV」っていう言葉すら知らないので、もちろん数字を意識もしてなかったと思います。ただ現在は普通にそのような言葉が会話の中に飛び交っています。

マーケティング畑の方からすると大した話に感じないかと思いますが、クリエイター側のメンバー全てが獲得効率やLTV構造、ユーザー動向などを数字で把握して会話できる事を、大きな強みに感じるようになりました。

インハウスはバランスが大事、自分達のフェーズにあわせて最適化を

-ポノスさんは開発からプロモーションまで一貫して自社で行っていますが、どういう経緯でインハウス化されたのか教えてください。ちなみに、100%インハウス化されていますか?

概ね、インハウスで運用しています。昔は、代理店さんのお力添えを頂きながら広告配信を進めており、少しずつインハウス化してきました。よく外部の企業の方からも「どのようにしてインハウス化できるのですか?」と質問される事がありますが、個人的にそれは企業のステージによって違うと考えています。単純にインハウス化した方が良さそうだからインハウス化するなどは間違いで、どの企業もインハウスにしなきゃダメってことでは無いと思うのですよ。

結局インハウス化するということは、社内に広告クリエイティブを作る人、数字を分析する人、レポーティングする人、広告運用する人等々、適した人材が必要になるので固定費が確実に上がります。代理店さんの手数料って20%前後だと思うのですが、これは固定費じゃないので出稿の金額や効果などの変動で調整がききます。

なんとなく固定費を増やすことは時として企業にとってリスクにもなりますから、自分達のステージが今どのような状況か?かけられる広告予算や、自社が現在所持しているノウハウはどのようなものがあるのかなどを考慮し、そのうえでインハウス化するのか、代理店さんと二人三脚でやっていくのかなどバランスを取って判断していくことが大切だと思います。仮にインハウス化しても内向きにクローズドにならず代理店さんや各ネットワークさんとも直接話をしますし、自分達でやりながら情報を取りにいける環境はいくらでもありますので、一部だけまず対応するなど柔軟に考えていいのかなと思ったりもします。

ポノスらしい独自のカジュアルゲームスタイルを確立したい、今後の展望

-今回、第一弾をリリースされてUSのストアランキングでも5位を獲得していますが、ハイパーカジュアルゲームの今後についてお聞かせください。

今回リリースする際に、1つのKPI指標としてある程度上位に行こうというのは当初からあったのですが、実際やってみて順位よりも利益構造の方が重要だなと感じましたね。ゲームを遊んでもらって1番収益が良いところを最大化していけるよう今後もノウハウを溜めてブラッシュアップしていきたいと考えています。

▲リリース後USのAppStore無料ゲームランキングで5位を獲得。

 

もちろんNトロフィースタジオ内のラインも強化していく予定ですが、1年間僕らが培ってきたマーケティングノウハウを使いながら、アライアンスも強化していく予定です。

-具体的にはどういう取り組みになるのでしょうか?

今からハイパーカジュアルゲームに参入しようと思ったら、少なくともここから半年~1年ノウハウを溜める必要があると思うのです。ただ僕らとパートナーとして組むことで、パブリッシングとマーケティングは僕らが担当し、ゲームの開発を他企業さんに担当してもらう形でゲーム開発会社さんは単純に1年参入が早まると思います。

僕らとしては、お互いが自分達の強みに全力で取り組むことで、本当に面白いハイパーカジュアルゲームを一緒に作りたい想いがあり、それがポノスらしいやり方だなと考えています。パブリッシングだけやるから開発はよろしく!みたいな関係性ではなく、パートナービジネスとして一緒に取り組んでいきノウハウを共有したいと思っており、興味を持っている企業の方がおられれば連絡を頂ければと思います。

-実際にもうそういった動きはされているのですか?

はい、もう既に色々と動いていて進めているところです。

-最後に、ポノスさんからメッセージをお願いします。

ポノスとしては古くからカジュアルゲームに取り組んできておりハイパーカジュアルゲームというカテゴリーも今は取り組んでいる状況です。そこでノウハウをしっかり溜めて長期的にカジュアルゲームを世の中にリリースしながら収益化構造もきちんと作っていく事ができるといいなとぼんやりと考えています。

僕は、ハイパーカジュアルゲームは、一つの手段だと考えています。ハイパーカジュアルゲームをやるというよりかは、カジュアルゲームをマネタイズして収益化していく事業構造の中のヒントをハイパーカジュアルゲームに持っており、この先もポノスらしいカジュアルゲームをより長く続けていくところに繋げていきたいと思っています。

 

 

-本日はありがとうございました

 


 

アライアンスパートナー募集について
お問合せ先:pressrelease@ponos.co.jp

<会社概要>
ポノスは、1990年の創業以来一貫してゲームを通してエンターテインメントという文化の発展に貢献してまいりました。【求められるモノは創らない、それ以上を創り出す。】を掲げ、求められるモノの中に、自分たちしか創れない価値をプラスしていくことを私たちは大切にしています。現在は、スマートデバイス向けのオリジナルゲーム開発を核に事業を展開し、代表タイトル『にゃんこ大戦争』は、累計DL数4,700万を(2019年10月現在)超え、多くのお客様に楽しんでいただいております。

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2019年12月30日
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