[Adjust 最新インタビュー]CEOが語る、SKAdNetwork4.0における変更点と今後の方針
Appleは今年6月に開催した開発者会議(WWDC 2022)にて、SKAdNetwork APIのアップデートを発表。...(続きを読む)
アプリ分析プラットフォーム「App Ape」を提供するフラー株式会社が、新潟県長岡市で開催される花火大会の公式アプリを開発。App Store、Google Playのカテゴリ別ランキングにて1位(※)を獲得しました。
長岡花火は日本三大花火大会のひとつで、毎年県外からの来場者も多い日本有数のイベント。
今年アプリとして成功を収めた背景について、開発メンバーにインタビューを実施。地方の自治体とどのように開発を進めたのか、スマホビジネス共創事業を展開するフラーの姿勢やアプリ開発に対する想いを伺ってきました。
※2018/8/3 App Store「旅行」カテゴリ、2018/8/2 Google Play「旅行&地域」カテゴリ
▲花火大会のプログラムやイベント当日に楽しめる機能が盛り込まれているイベント公式アプリ
(公式サイト:https://nagaokamatsuri.com/app.html)
目次
右:デザインを担当する山﨑 将司氏(フラー株式会社 執行役員 最高デザイン責任者)
中央:iOSエンジニアの伊津 惇氏(フラー株式会社 ソフトウェアエンジニア)
左:杉山 信弘氏(フラー株式会社 執行役員CMO マーケティング部門管轄)
山﨑:フラーの代表である渋谷が新潟出身で、「いつか地元で自分の花火を打ち上げたい」という夢があり、イベントを主催する長岡花火財団に直接提案したことがきっかけです。提案自体は2016年だったんですが、当初は開催日までの期間が短かったこともあり許可が降りず、渋谷の熱意も通じた翌年(2017年)にリリースすることができました。
山﨑:他の大きなイベントでもアプリを最大限活用するというような取り組みはまだ少なく、財団の方々に、なぜアプリなのかという点を納得していただくまでがまず大変でした。
山﨑:花火大会が終わった後も、来てくれた人達に長岡のことを思い出してもらう為、年間を通して長岡の魅力をアプリで届けていきましょうと提案しました。
Webよりもアプリの方が頻度が高い、単純なことなんですが、ホーム画面にアプリアイコンが並んでいることがすごく重要なんです。
伊津:僕も新潟出身なので、長岡花火だけでなく地元の魅力をもっとたくさんの人に知って欲しいと思ってます。フラーは「ITのちからで地方を活性化させたい」という想いを持った企業で、2017年に新潟オフィスを開設しました。山﨑は本社と行き来しているんですが、僕は普段、iOSエンジニアとして新潟で働いています。
▲インタビュー当日も、新潟からお越し頂きました。(取材はフラー本社にて)
ーアプリの特徴について教えてください。
山﨑:「長岡花火公式アプリ」は、長岡まつり大花火大会に関する情報と当日会場で使える機能があって、その他にも長岡の魅力を伝える記事も定期的に公開しています。また、今年は「長岡花火道路交通情報」という交通情報に特化したアプリも新たにリリースしました。
杉山:10代~60代までと幅広く、最も利用していたのは30代後半から50代前半、親世代にあたる人達です。男女比でいうとほぼ半々になります。
山﨑:累計で7万ダウンロードです(2018年8月時点)。全体のうち、9割近くが花火大会当日にダウンロードされているので、ここはもう少し前倒しできるように改善していきたいと思っています。当日だと会場付近の回線が混雑するので、お客さんにはできるだけ事前にダウンロードしてもらいたくて。
▲2018年のアクティブ数とインストール数(Android/iOS)
※Androidは7/23以降、iOSは7/16以降のデータ。昨年からの積算分が含まれていないため、実数値より少ない
伊津:イベントアプリは当日集中的に使われるし、ユーザーも実用性を期待してダウンロードしているので、ギリギリまでアップデートをかけて調整しています。社内のメンバーにも使ってもらって、報告されたバグを1件1件潰しました。そのお陰もあって開催期間中にアプリがクラッシュするようなことは起きませんでした。
▲イベント当日(8/2・8/3)のセッション数
伊津:「プログラム」機能を今年はオフライン対応しました。もともと、屋外の暗いところでパンフレットを見るのは大変なので、スマホで見られるように作ったんですが、去年のユーザーレビューで、「当日ネットに繋がらなくて見られない」という声をかなりもらいました。
実際に当日会場でアプリを使ってくれたユーザーの声なので、これはすぐに改善しなければと。また、開発を進めるなかで他の機能もオフライン対応させましたね。
▲ホーム画面の中央に、当日会場で役に立つオフライン機能をまとめている。
山﨑:「なないろライト」という機能です。これは花火大会終了後、花火師の方に感謝の気持ちを込めて光るものを振るという長岡花火恒例のイベントで、その時に使える機能です。当日、結構会場でみなさん使ってくれていて、反応良かったですね。
▲画面が7色に自動で切り替わる仕様の「なないろライト」機能。
▲当日の様子、光る画面を花火師さんに向かって振る来場者。
伊津:プログラムですね。次はニュース、交通情報です。
山﨑:実用的なページが特によく見られています。iOS版の「プログラム」機能は、当日時間に連動してフレームが出るんです。ユーザーの起動時間を見ると、花火を見ている間ずっと起動してくれているのが分かりました。
伊津:ユーザーにとっては当日一度しか見ることのない機能なので、初めて画面を見た時にユーザーがどう感じるかを一番意識して作りました。
山﨑:アプリの背景を黒にしているのも、ユーザーが花火を見ながら使う時に暗いところで白い画面が光ると気になるだろうなと思ったからです。
▲花火を楽しむユーザーを意識して背景色を黒に改善(右)。
山﨑:実体験に基づく意見はすごく参考にしました。ストアのレビューだけでなく、Twitterの投稿や自社でのアンケート調査の結果も開発に役立てています。
伊津:アンケートは花火大会の後日、公式アプリから回答できるようにしています。当日は会場もすごく混んでるし、その場でアンケートを配布して集めるのはすごく大変な作業なので。
▲アプリ内に設置されたアンケート。
杉山:去年のアンケートは約7,000人の方が回答してくれました。内容も公式アプリに対してだけでなく、イベント全体に関する意見を集めたので、財団の方からは運営の知見を貯めることができる貴重な声だと嬉しい反応を頂きました。
山﨑:次回は「チケット」機能を入れたいと考えています。アプリの使用状況を見てみると、チケットに関する情報にアクセスしているユーザーが多かったので、そこにニーズがあると思いました。
あと、「アフター花火」という飲食店で使えるクーポン機能を実装したのですが、開発期間的に今年は効果測定できない仕様だったので、画面遷移をつける予定です。試験的な企画ではあったものの、当日はお店に入りきれないくらいお客さんが来て大盛況だったと、財団の方から報告を受けました。
杉山:広告予算がなかったので通常のアプリプロモーションで使うようなWeb広告は打てず、私たちで出来ることを探して実施しました。開発費用だけで広告費用はゼロだったんです。
山﨑:最も流入があったのはイベント公式サイトに設置したインストールバナーです。地元のテレビや新聞・雑誌などでも、イベント案内と合わせて公式アプリを宣伝してもらいました。
杉山:あと、新潟県内のセブンイレブンさんにチラシを設置していただきました。逆に、アプリ内にはセブンイレブンさんの広告を入れていただくという形を取らせていただいたので、こちらも費用はかかっておりません。
山﨑:7万ダウンロードって、一般的にゲームアプリなどと比べたら少ないと思いますが、プロモーション予算ゼロだったので僕らとしては頑張ったなと。良いものを作ればちゃんと使ってくれるんだって実感しました。財団の方と共有していた目標も「長岡花火公式アプリ」に関しては110%以上、「長岡花火道路交通情報アプリ」は200%以上達成することができました。
伊津:予算がない状況でも、財団の方々がとても協力的だったことも大きいですね。会場の場内アナウンスで「公式アプリをダウンロードしよう」と宣伝してくれたり、交通案内の看板にアプリのQRコードを入れた案内を出したりと。
山﨑:開発スケジュールがギリギリだったので告知が遅れたことが一番大きかったかなと。新潟県外からの来場者に対するアプローチができてなかったので、そこをしっかりカバーしていきたいです。地元中心にプロモーションを行っていたんですが、実際に来場者アンケートの結果を見ると40%近くのユーザーが関東方面から来場していました。
▲花火大会当日の会場。
伊津:僕と山﨑は2つの拠点を移動しながらプッシュ通知を配信してました。会場内のことはイベント本部から、交通情報に関しては会場外にあるセンターで高速ICの情報や駐車場の最新情報をキャッチアップして。
杉山:今回、開発メンバー以外の社員もバスを貸し切ってみんなで新潟に行きました。今年はフラーとして花火を上げることができたんですよ、代表の渋谷が目標にしていたことが1つ実現しました。その時に会場にいた一般のお客さんから「アプリ作った会社が花火あげるんだって~」という反応が大きくて、それがすごく嬉しかったですね。来年はもっと大きな花火を上げられるように僕たちも長岡に貢献したいです。
山﨑:僕はお客さんが「なないろライト」を振ってくれている姿をみてちょっと泣きそうになりました。
伊津:イベントが終わった翌日も、朝5時に起きて地元の方と一緒にゴミ拾いしたんですよ。
山﨑:今年は大成功でしたね。アプリに対してだけでなく、フラーという会社に対しての印象が変わったように感じています。地元の人から声をかけてもらえるようになった、良いイベントにしようという気持ちが伝わった気がしました。僕たちは、普通のアプリ開発では経験できないことを経験しているなあと思います(笑)
杉山:自分たちの会社の名前を呼ばれながら花火が上がるのをみて、全員で感動しました。この案件に関わったメンバーだけでなく社内のメンバーがみんな、フラーのことをもっと好きになったんじゃないかなと感じましたね。
伊津:エンジニアとして、開発に関われてよかったという気持ちがとても大きいです。去年のユーザーレビューを元に改善した機能に対しての反応が全体的にすごく良かったので。冬にも花火大会(※)が予定されているので、これからアップデートに向けて準備に入るところです。
※長岡花火ウインターファンタジー https://nagaokamatsuri.com/winter.htm
杉山:フラーの共創事業は、ITのちからで地方を活性化するために愚直に向き合う事業部なんです。現地で人を採用して最先端の仕事を地元で作っていく。今はフラーの中に新潟出身者が多いこともあり新潟でやっていますが、今後は他の地方でも展開していきたいと思っています。
山﨑:僕は普段から新潟と本社を対等に置くことを重要視しているんですよね。本社で受けた仕事の一部分を地方に渡す流れが一般的だと思いますが、僕達はむしろ逆。新潟で取った仕事を本社に回すくらいの勢いを持っていて、この対等感が地元の周りの企業から「フラーさんって良い会社だよね」と評価されています。
山﨑:あともう1つ大事にしているのは、例えエンジニアであってもデザイナーであっても、お客さんを好きになってもらう為に、ユーザーとして必ずそのサービスを体験してもらうこと。地方で地元の人と仕事を進めるうえではその方が圧倒的に話もしやすいんです。
伊津:自分で体験したからこそ開発に活かされることが沢山あるんです。僕もフラーに入社して、普通エンジニアが経験しないようなことをたくさん経験させてもらっています。
杉山:ありがたいことに、アプリ開発の依頼やイベントを一緒に作って欲しいとのオファーを様々な地方の皆様から頂いています。ITで地元を活性化させたいという同じ想いを持った方がいたら、 ぜひフラーで僕達と一緒に働いてほしいです。
フラー株式会社 https://fuller-inc.com/
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