ポノス「カジュアルゲーム×マーケティング」からみるハイパーカジュアルゲーム参入の先に見据えるもの
2019年10月、ポノス株式会社がハイパーカジュアルゲーム市場に参入したことを発表。ポノスと聞いて、『にゃんこ大戦争』を...(続きを読む)
数あるマンガアプリの中で存在感を放つ集英社の『少年ジャンプ+』。今回はテレビなどにも多数出演されているアプリ博士・AppLovinの坂本達夫さんが、編集長・細野修平 氏に突撃取材!
”ジャンプブランド”を掲げる本アプリが送りだすオリジナル作品とは。編集部のマンガ作りに対するマインドを聞き出しました。
▲左:AppLovin・坂本達夫 氏、右:少年ジャンプ+編集長・細野修平 氏。
目次
700万ダウンロードを突破した、集英社の無料マンガアプリ。
オリジナル作品から、本誌で連載されている人気作品のスピンオフ、往年の名作まで、「少年ジャンプ」のマンガが読める。
坂本:本日はよろしくお願いします! 早速ですが、まずは『少年ジャンプ+』で一番読まれている鉄板の人気作品を教えていただけますか?
細野:歴代のTOP3は、「カラダ探し」、「終末のハーレム」、「ファイアパンチ」でしょうか。
「カラダ探し」は『少年ジャンプ+』立ち上げと同じくらいに連載が始まりましたが、今なお人気が高いです。
原作:ウェルザード 漫画:村瀬克俊
夜の学校で繰り広げられる「赤い人」との命がけの鬼ごっこ。
「カラダ」を全て見つけるまで永遠に同じ日が繰り返され、何度も何度も殺される……。
ヒリヒリとした緊張感に溢れた学園サバイバルホラー。
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坂本:面白いオリジナル作品がたくさん揃っていますが、過去のヒット作などとの割合は今どのくらいですか?
細野:6割か7割くらいがオリジナルですが、理想はオリジナル作品100%です。
ただ、まだ本数が少なく、ユーザーのアプリ利用時間を上げるために、今のところは過去作品の力を借りています。
秋にかけて新連載を25本くらい立ち上げているので、これからまたオリジナル作品の比率は上がっていくかなと思います。
坂本:オリジナル作品でやっていくという方針は最初からですか? そもそも『少年ジャンプ+』はどういった経緯で誕生したんでしょうか。
細野:実は『少年ジャンプ+』の前身に『ジャンプBOOKストア!』(ジャンプ公式電子書店)、『ジャンプLIVE』というアプリがあったんです。それを単発で2回ほど期間限定リリースして、好評だったので『少年ジャンプ+』をリリースした経緯があります。増刊号を出して売れたから定期刊行にした感じですね。
坂本:なるほど! 紙でやっていたことをデジタルでもやってみた、と。面白いですね。
細野::『ジャンプBOOKストア!』をリリースした当時はkindle上陸前で、自社でデジタルコミックをやっているところも少なかったんです。
『ジャンプLIVE』リリース当初は手探りで、アニメとか、アイドル動画とか、「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木先生がパスタを作る動画とか(笑)、色々出してみたんですけど反応はイマイチで。やっぱりマンガがいいよねと方向修正した経緯があります。
それで『少年ジャンプ+』が出たのが2014年の9月なのですが、その半年くらい前からいくつか無料マンガアプリが出てきていて。そのおかげで、『少年ジャンプ+』はマンガアプリでは後追い、とリリース当時に言われてしまいました。「オレたち、もっと前からやってたし!」って感じでしたよ(笑)
細野:『ジャンプLIVE』や『ジャンプBOOKストア!』をやってみてわかったのは、デジタルにもお客さんがちゃんといるということでした。やはりそこを開拓しないともったいないなと。
『少年ジャンプ+』の目標はオリジナルマンガでヒットを出して、デジタルで1番になることです。ならば、デジタル出身の天才が現れなければいけないと思い、『少年ジャンプ+』は読者だけでなく描き手も集まる場所にしたかったんです。
アプリリリース当初は「ワンパンマン」などのネット出身の作家さんたちが、しっかり力をもちつつありましたし、そこを取りそびれるわけにはいかないと。
坂本:デジタル出身の作家さんというのは、デジタルに合わせた表現フォーマットで描ける人という意味ですか?
細野:フォーマットというほどまではいきませんが、デジタル育ちの人たちが自分で読みたいと思うものを描いてほしいという感じです。
マンガアプリは飽和状態ですし、今後はそこでしか読めないオリジナル作品が、各アプリのウリや差別化ポイントになると思います。「マンガ雑誌」と名乗るからには新しい作品を世に送り出していきたいですね。
坂本:紙ではできなかったけど、アプリだったからできたことはありますか?
細野:『少年ジャンプ+』ではあまりやれていませんが、縦読みは面白いですね。中国や韓国では縦読みが主流になっているので、『少年ジャンプ+』でももっとやっていきたいです。
あとデジタル版の感想で面白かったのは、ページが真っ白で綺麗という声です。雑誌は再生紙なので紙に色がついているのですが、デジタルではそれがないんです。
坂本:あ~。考えたこともなかったです。マンガ雑誌を読むとき、頭の中で勝手に薄緑とかの紙の色を消していました(笑) 確かにそうですね。
細野:色の発色がいいし、作家さんの思い通りの色を出せるのはデジタルの強みですかね。例えば最近出た読切の『夜ヲ東ニ』は、色の表現を上手く使った作品になっています。
▲暗闇に包まれた「夜」が支配する世界が舞台のSF作品。光の表現が物語に奥行きを持たせている。
細野:とは言え、僕自身は「デジタルならではの表現」についてどちらかというと否定派です。動かしたり、音を出したり、そういう提案ももちろんあるのですが、結局アニメには勝てませんからね。
デジタルはディスプレイの大きさが紙の雑誌よりも小さいので、表現力が弱まっている部分はあると思います。でも、マンガの面白さは表現力だけではないですから。面白いマンガはデジタルでも面白いと思っています。
細野:デジタルならではの表現とは少し違いますが、『少年ジャンプ+』だから作家さんが気負わずに描けるという部分はあるかもしれません。
例えば、Twitterでも反響が大きい「青のフラッグ」。作者のKAITO先生はもともと週刊少年ジャンプで「クロス・マネジ」「バディストライク」を描かれていた方で。
坂本:あぁ、ありましたね!
細野:「クロス・マネジ」はラクロスをしている女の子を応援する男の子の話という変化球だったのですが、KAITO先生は叙情的な部分が上手いからそこを直球で描いてくれればと思っていて。
そんなときに描いてくれたのが「青のフラッグ」なんです。
作者:KAITO
人生の岐路に立つ高校3年の春。二葉から幼馴染の桃真への恋心を打ち明けられ、協力を求められた太一。
二葉と過ごす中で揺れ動く太一の心。そして、桃真が見つめる先にいるのは……?
一筋縄ではいかない3人の関係から目が離せない青春ストーリー。
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細野:よく「描きたいことと描けるものは別」と言われるのですが、KAITO先生にとって”描けるもの”がこういう作品だったのかもしれないなと。
少年ジャンプではどの作家さんも「少年マンガを描くんだ」と気合を入れるのですが、『少年ジャンプ+』だから肩の力が抜けたのではないかと思います。
まあこの作品、よくよく読んでいくと実は直球ではなかったりもするんですが。そこが一部の女性の萌えポイントとしてウケているようですね。
坂本:アプリのユーザーは10代の男の子だけでなく、上の年代や女性層が多いんですか?
細野:そうですね。『少年ジャンプ+』のメインの読者層は10代から30代と幅広く、紙のジャンプより女性比率も高いので、どんな作品でも受け止めてもらえます。
だから編集からはあれこれ指示せずに、「何を描いてもいいです。面白いものをお願いします。以上。」と言うことができるんです。
坂本:逆にアプリだから難しい表現や、やりづらさを感じるところはありますか? 例えば「終末のハーレム」はiOSでの配信ができなくなってしまいましたが。
原作:LINK 漫画:宵野コタロー
ウイルスによって99.9%の男が死滅し50億人の女性が生きる未来の世界。
女性たちから子作りを懇願されることに戸惑いながらも、主人公・水原怜人は男たちを救うべく特効薬の開発を目指す。
かなり際どい描写が繰り広げられる近未来エロティックサスペンス。過激さゆえにiOS版アプリでは配信NGとなってしまった……。
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細野:出版社自体がもともと厳しく自主規制を行っているので、実は表現の制限に関して苦労はしていないんです。「終末のハーレム」が配信できなくなったときは「やっぱり注意されたか」って感じで、そんなに驚きませんでした。
ちなみに「終末のハーレム」が配信停止になった時に「Stand by me」という読切作品を配信していまして。「終末のハーレム」が読めなくなったから、Apple本社に少年たちが殴り込むというお話なのですが……。
坂本:攻めますね~!
▲全男子の思いのたけをぶちまけた問題作「Stand by me」。こちらはアプリ内でも配信中。
細野:ジョブズをスタンドとして呼び出してティム・クックを倒すという、かなりぶっ飛んだ内容なのに、意外と話題にならなくて(笑)
坂本:なんで話題にならなかったんですかね? かなりヤバですよ、これ! 話題になったらなったで、『少年ジャンプ+』がヤバそうですが(笑)
細野:もともと少年ジャンプは後追い(※)の三流雑誌ですから。マンガ文化とかクールジャパンとか、そういう綺麗なことは考えてないんです。
なんでも面白いことをやってやろうって。これはよそでは見せられないと思われるぐらいがいいですね。マンガって本来そういうものだと思います。
※少年マガジン・少年サンデーは1959年創刊。少年ジャンプは1968年創刊。
坂本:『少年ジャンプ+』の目指す先にはどこにありますか?
細野:やはり大ヒットを出したいです。『少年ジャンプ+』に限らず、マンガアプリから真の大ヒットはまだ出ていないと思います。
「終末のハーレム」は人気ですが、”まだまだ”という印象ですし。
坂本:少年ジャンプのハードルが高すぎるのもあると思いますが(笑)
細野:いえ、まだまだです。ワンピースやドラゴンボールのような王道ジャンルで、「億」単位で売れる作品を出したいですね。
満遍なくどの作家もほどほどに稼げるという段階では、マンガアプリ業界は失敗だと思います。やはり「億プレイヤー」が出てこないと夢がありません。
紙の雑誌と同じように、億単位のヒットを次々叩き出すライバルアプリが3つ4つとあるような、夢のある理想の市場を作っていきたいです。
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