ポノス「カジュアルゲーム×マーケティング」からみるハイパーカジュアルゲーム参入の先に見据えるもの
2019年10月、ポノス株式会社がハイパーカジュアルゲーム市場に参入したことを発表。ポノスと聞いて、『にゃんこ大戦争』を...(続きを読む)
2016年も様々なアプリが登場し、話題を呼んでいました。その中でも特に庶民派で実用性にあふれるのが、讃岐うどん専門店『丸亀製麺』の公式アプリです。
高い割引率のクーポンが注目を集め、App Storeで1位を獲得。さらにフラー株式会社が主催する「アプリ・オブ・ザ・イヤー2016」で企画賞も受賞。
そんな大成功を収めたアプリを手掛けた、株式会社トリドールホールディングスの村上卓也氏にインタビューを行いました。
目次
株式会社トリドールホールディングス
インフォメーションテクノロジー部 部長
経営企画室 次長
讃岐うどん専門店「丸亀製麺」を始め、焼き鳥の「とりどーる」、焼きそば専門店「長田本庄軒」などの飲食店を、世界の国・地域に1000店舗以上を展開。
もともと経営企画室で入社していまして、国内の予算作成や海外事業担当をしていました。
1年半ほど前にIT部が東京本部に移ってきたのを期に、IT部の部長も兼任することになったので、どうせなら売上向上効果の高いデジタルマーケティングもやらせてくださいと社長にお願いし、それが通りました。大変なのはわかっていたのですが。
丸亀製麺にはこれまで会員基盤がなくて、お客様の会員化を進めれば十数億円レベルの売上に繋がるという自信がありました。実際にはもっと上の効果を得ることができましたが(笑)
半年ですね。
必要最低限の機能を持っていて実績のあるアプリ制作会社を探して、クーポン機能、プッシュ通知の仕組みなどはすでにあるものを流用しました。400万円という、普通ではありえない低金額で開発しています。新しく開発した箇所は、レシートのQRを読み取る機能だけですね。
大仰な機能を入れてお金をかけた上で失敗するよりも、とにかくテストを早く安くやろうと(笑)。最低限必要な機能だけを入れました。
▲唯一の丸亀製麺アプリオリジナル機能。
「お客様にどうしたら喜んでもらえるか」ということですね。
実は他社とのベンチマーキング(比較・分析)をあまり行っていません。お客様にいかに喜んでもらうか、いかに多く来てもらうか、それだけを考えています。
大きな店舗では、ピーク時に大体9人くらいスタッフがいることもザラです。普通は飲食店で9人というのはなかなかありません。お客様から支持されて、ずっと回転良く来店していただいているからこその仕組みなんです。お客様の数が少なくなると成り立たなくなってしまいます。
だからお客様にいかに喜んでもらうかを起点に考えて、「やっぱりクーポンは嬉しいよね。必須でしょ。」というように開発していきました。
やはりクーポンのインセンティブと、丸亀製麺に「会員」の基盤がなかったので、待ち望んでいたロイヤルユーザー(売上貢献度の高い顧客)の方々がいっきに飛びついたせいではないかと思います。
ヒットしたのは僕の力ではなく、丸亀製麺のブランド力やクーポンの力によるものですが、狙いが当たったというのは嬉しいです。
何もないです(笑)!
とりあえず、クーポンのインセンティブを十分に強めているので、その効果を見てからと考えていました。
そうですね。初月で20~30万DLいくかなと思っていたのが2~3日で達成されて、さらにそこからバズったという感じです。
50円引きとか100円引きのクーポンにしようと考えていましたが、やはり、”無料”や”半額”という言葉は強いので、それは入れたかったんです。社内でも「アプリをダウンロードしてくれた方は一見さんじゃない、天ぷら1品無料にしては?」との後押しもあり、かしわ天無料、釜揚げ半額など強いクーポンが実現しました。
丸亀製麺には、よくご愛顧をいただいているお客様に報いないとという気持ちがあります。
▲丸亀製麺アプリのクーポン。こちらはてんぷらが無料に! 割引率が高く、お財布に優しい。
怒られないです(笑)!
ざるうどん半額を行った時なんか特にそうだったんですが、ネットでも記事にしていただけてお客様が増えました。前年比何十%UPという店舗が続出して、効果があったと言えます。
新規のお客様も増えましたし、アプリのダウンロード数も伸びました。売上も利益も大きく増えたことが確認でき、ダウンロード促進の施策にもOKが出ています。
うどんにサイドメニューのてんぷらがついたペアメニューが人気です。
あとはやはり、てんぷら半額クーポンが人気です。
例えば、秋のメニューのまいたけ天は非常に反響がありました。丸亀製麺のまいたけ天はとても香りが強く、一般家庭で調理しても再現するのは難しいと思います。今の時期も店舗によってはまいたけ天を販売しているところもあるので、ぜひ召し上がってみてください。
特にありません。ただ、来店頻度は変わりました。アプリを導入する前は「丸亀製麺カード」というものがあったのですが、その時とは全然違います。2~3か月に1回という人が減って、逆に1か月に1回という人が増えました。
まだ10%に届いていないです。ただ、ビジネス街では利用率が高くなって、14%くらいになる店舗もあります。
クーポンが売上利益的にも悪影響はないということがわかったので、これからちょっと利用率を上げていこうかと考えているところです。
例えば、レシートの読み込みでもらえるクーポンの種類が増えます。3月2日には3種類から5種類へ、4月には7種類になる予定です。
それ以外にもダウンロードしてもらうための施策を行い、段階的に伸ばしていきたいなと。
▲レシート読み込みで貰えるクーポンの種類が3種類から5種類へ、最終的には7種類まで増える予定。
実は丸亀製麺アプリのダウンロード数にはあまり影響なかったんですよ……。アプリ系の業界では反応がよかったのですが。
「一緒に育てていこうよ」という感覚で、人気を博する前のマンガなどのIPとコラボしたいと思っています。僕自身そういうものが好きなので。
店頭でコラボをやるとせっかくの風情を損ないかねないので、デジタルの方でやりすぎない範囲でやっていければと。
▲うどんとゲームの異色コラボ。
僕と経営企画室で広報の仕事をしている者と、2人でやっています。ワールド オブ ファイナルファンタジーの企画は、このもう1人の方が出したものです。
今回のアプリの開発は本当にミニマルに行っていたので、面白機能やゲームといったお楽しみ要素を入れる余裕がありませんでした。てんぷらカメラはやらないですが、あれぐらいのやつは予定しています(笑)。
▲以前の丸亀製麺アプリにあった、アヴァンギャルドな写真デコ機能。現在のアプリには未実装。
実は来期に大きなアプリのリニューアルを予定していまして。マーケティングの幹になる要素と、ゲームのようなお楽しみ要素を入れる仕組みは考えています。
面白機能は時期によっていろいろ変えられるようにする。かも(笑)。
小売り、飲食含めてサービス業の販促の施策としては指折りの仕組みになるかなと。
近いうちにセグメント別のSNSアカウントを設けたり、色々仕掛けを打っていきます。本格的なMAツールの導入や、顧客属性を捉えたWEBのレスポンシブ化などもすでに準備中です。これ以上、具体的な機能は言えないですが。
弊社のIT部は守りのITと言いますか、社内のシステムを作ったり、セキュリティ対策をやったり……という感じで、今まではデジタル系での販促をほとんどやってきませんでした。
だからといって他の人たち苦労してきた道をそのままたどる必要もないので、今回の成功を受けた投資で、一足飛びに次の環境を最新の仕組みにしたいと思っています。
業績に大きく貢献できると確信を持ってやっています!
あくまでアプリはお客様とつながる、ひとつの接点にすぎないんです。
アプリとお客様のつながり方は、店舗の次に濃密なものではあるのですが、それに囚われずWEB・SNSなど裾野を広げていきたいと思っています。
デジタルを使い、お店の外でお客様といかに繋がりを作るか。いかに接点をつくって貢献していくかというところに注力していきたいです。
インタビューを通して感じたのは、村上氏の考えには常に、お客様に喜んでほしいという想いがこもっているということです。そのためには従来の考えを取っ払い、新しいことを恐れず邁進するパワーも感じます。このようなお客様第一の暖かい想いのおかげで、我々はアプリのクーポンを使ってお得で美味しいうどんを食べられるわけですね。
今後はアプリの成功を受けて、さらにデジタルでの販促に投資が行われていく様子。今後予定されているリニューアルにも期待が高まります。
まだクーポンの使用率は10%未満ということですが、使わないなんてもったいない。今日のごはんはお得な丸亀製麺にしませんか?
▲インタビュー帰りに株式会社トリドールホールディングス近くの丸亀製麺へ。噂のまいたけ天は残念ながら売り切れ。人気なのですね。
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