ポノス「カジュアルゲーム×マーケティング」からみるハイパーカジュアルゲーム参入の先に見据えるもの
2019年10月、ポノス株式会社がハイパーカジュアルゲーム市場に参入したことを発表。ポノスと聞いて、『にゃんこ大戦争』を...(続きを読む)
10代~20代前半の女子に人気の『LAURIER PRESS(ローリエプレス)』は、“女子力アップのヒントをお届け”をコンセプトにしたメディアです。
昨年12月にアプリ版がリリース。ローンチから1ヶ月で、App Storeランキング「カタログ」カテゴリにて1位、今年8月にはApp Store総合ランキング1位(※)を獲得しました。
トレンドに敏感な若い世代の女子に好まれる秘訣は、一体どこにあるのでしょうか。今回は『LAURIER PRESS』のプロダクト(WEB・アプリ)プロデューサーの宇佐美 冴岐子さんと、編集長の遠藤 優華子さんにお話を伺ってきました。
※2017/8/18時点のApp Storeランキング
▲右から「LAURIER PRESS」のプロダクトプロデューサーの宇佐美 冴岐子さん(エキサイト株式会社)と、編集長の遠藤 優華子さん(エキサイト株式会社)
目次
遠藤:元々は「LAURIER」という、エキサイトが運営するニュースサイト『エキサイトニュース』内の1カテゴリとして長年運営してきたメディアだったんですが、昨年の7月に本体からスピンアウトする形で『LAURIER PRESS』が生まれました。
立ち上げ当時の読者はアラサーの女性が中心でしたが、メディアとして変革を経て今の形になり、現在、アプリのメインユーザーは18歳~25歳です。
宇佐美:昨年12月にアプリをリリースしたことによって、若年層ユーザーが増えました。若年層のユーザーは、比較的アプリをダウンロードすることに抵抗がなく、自分が気になるものを見つけたら、とりあえずダウンロードする傾向があるように感じています。
宇佐美:『LAURIER PRESS』の世界観を表現することです。
Webだと、どうしてもSEOも重視しながらサイト設計を行う必要があるので、あまり凝ったことができませんでした。アプリの場合はその点、Webよりも自由に作り込めます。
アプリは”ダウンロードする”という手間が発生するので、「たまたま検索やSNSで出てきたLAURIER PRESSのサイトに訪れたユーザー」ではなく『LAURIER PRESS』の世界観に共感した人達が集まってくれるんですよね。女の子のテンションが上がるようなコンテンツの見せ方には、些細な部分もデザインサイドでとてもこだわっています。
宇佐美:全体的に画像を重視した作りにしていて、特に、検索画面には注力しました。
若年層の間では、Instagramなどの流行りから、「自分が理想とする世界観とマッチするものを画像で探し、意思決定する」という習慣ができています。なんとSNSの画像を見て旅行先を決める人が増えているというデータもあるほどなんです……。
テキストでは「かわいい」と一括りで表現しますが、どんなものを「かわいい」と思うかは人それぞれ。そのため、女の子たちにとってだからこそテキスト検索では自分の理想とする「かわいい」を検索しづらいんです。
そこで『LAURIER PRESS』では、ビジュアル重視の画面設計にすることで、ユーザーが理想とする「かわいい」をより見つけやすくしました。検索画面にはキーワードに紐づく画像を表示。ユーザーが気に入った画像を見つけてその画像をタップすると、画像に紐づくショップやアイテムの情報を掲載した記事に飛ぶようになっています。
今後は弊社独自で開発しているAI(レコメンドエンジンWisteria:ウィステリア)を活用し、ユーザー1人1人の感性にあったものをレコメンドできるような仕組みも入れようと、開発を進めているところです。
▲Instagramを意識した、『LAURIER PRESS』の検索画面。
遠藤:かわいいものほど、ビジュアルやイラストで伝えたいものが多いので、アプリの方がユーザーに視覚的に伝えやすくなりました。
Webとアプリって、雑誌を立ち読みするか買うかっていう感覚に非常に近いと思うんですよね。時間を潰すだけなら立ち読みで済ますけど、愛着のある雑誌は買って読みたいという違いがあります。
『LAURIER PRESS』の世界観が好き、紹介するものが好き、ここなら自分の理想とするかわいいが見つかる、というユーザーからの信頼を得るためにも、アプリではメディアの世界観をしっかり打ち出していきたいです。
タイアップコンテンツ(いわゆる記事広告)も、『LAURIER PRESS』ならではの文脈で制作します。クライアント様とは、しっかりと世界観の共有をした上で、展開切り口を提案します。ユーザーから見て、「『LAURIER PRESS』らしくないし、好きじゃない」などと思われてしまうのは、私達にとってもクライアント様にとってもマイナスですからね。
宇佐美:8月にアップデートした「画像を保存する」機能は、ユーザーの行動を元に実装しました。
よくユーザーが『LAURIER PRESS』で紹介したアイテムやショップの情報を備忘録代わりにSNSでシェアしている光景は目にしていたのですが、SNSでシェアする際に、わざわざ画面キャプチャをトリミングして載せていたんですよ。
アプリにはお気に入りの記事を後から読めるように「クリップ機能」を付けているんですが、『LAURIER PRESS』以外で得た情報もストックしておく場所を、Twitterなりカメラロールのフォルダなり、独自に持っているユーザーさんが多いようなんです。
備忘録としてInstagramやTwitterで「かわいい」と思ったものを投稿し、思い出した時にさくっと確認するためには、URLやテキストはかわいくないし、パッと見てどの情報か分かりづらいので煩わしいのかもしれません。
以前からそういったユーザーさんの行動を目にしていたので、記事内の画像を直接カメラロールに保存できるようにしたり、Twitterでシェアする際にはサムネイル画像を付与したりもしました。それと同時に『LAURIER PRESS』のクリップ機能はまだまだ不十分だとも思っているので今後のアップデートで更に工夫していきます。
▲記事内の画像をタップすると、直接イメージを保存できる機能。
遠藤:記事を読んだ後に、「かわいい」と思うだけでは終わらせない、ユーザーにとってスキルが身につくコンテンツ作りを意識しています。
かわいいなって思って頂くことももちろん必要なんですが、かわいくなるためのハウツーを私達は大事にしているんです。
『LAURIER PRESS』では特技・スキルを持ったインフルエンサーさんが100名以上在籍し、皆さんにコラムを書いていただいています。「『LAURIER PRESS』を読めば、かわいくなれる」と思って頂けるよう、知識・スキルを持った方々が情報発信しているのが特徴ですね。
実際にユーザーの8割が、記事の内容を実践してみたというデータも取れていて、ハウツーをしっかり学んで欲しいという気持ちが、ユーザーさんにきちんと届いているなと手応えを感じています。
宇佐美:そうですね。『LAURIER PRESS』で紹介したアイテムを購入したことのあるユーザーさんも5割を超えています。
メディアとして「知る、分かる、実践する」をサポートできる見せ方・コンテンツ作りにこだわっているので、自分磨きに悩んでいるユーザーさんに絶対的な信頼を持って頂けるようなメディア作りを心がけています。
遠藤:記事の内容的には面白いけど、ビジュアル的にイマイチな場合、「これを出したら、ユーザーががっかりしてしまうかな?」と考えることはありますね。
自分の好きな世界観に少しでも違和感があるものが入ってくると、ユーザーは「自分には合わないかも」と離れてしまうんです。
宇佐美:アプリでは特に「エンゲージメント」を重視しているので、コンテンツの公開後、ユーザーの反応がイマイチだったものについては、積極的にユーザーが接する場所には置かず、検索で引っかかるだけの状態にし、エンゲージメントが高いコンテンツに接してもらえるように誘導する工夫をしています。
遠藤:自分達のメディアを意識して見てくれてるという点ですね。Webの時は記事の内容が、たまたま、その人にとってその時必要だったから読まれていた状況が多かったように思います。
当時はSNS上での反応も、「ローリエプレスの記事を見た」ではなく、「彼氏の本音について書いてある記事があったんだけど」というもので。
アプリを通して『LAURIER PRESS』に毎日接触する機会が生まれたことによって、信頼できるメディアとして認知してくれているように感じます。
宇佐美:やっぱりホーム画面にあると、強いですね。これまでは一度来てくださった読者に対して、再度接触を試みてもアプローチが難しかったのですが、アプリではPush通知などを通して読者との接触の機会が増え、信頼関係を構築しやすくなりました。そのため、『LAURIER PRESS』に一定の信頼感を持ったユーザーが、アプリには集まっています。
遠藤:ユーザー参加型のリアルイベントやプレゼントキャンペーン開催時の応募者数にも、それがすごく現れていて。
イベントですと例えば、それまでは出演者のSNSでの告知や公開した記事などの、一時的な露出からの応募がほとんどだったんですが、アプリで知って来てくれるユーザーの方が増えてきているくらいです。
宇佐美:はい。アンケートの回答率などをはじめ、全体的にユーザーエンゲージメントが高まっていますね。メディア内で紹介したアイテムの売れ行きもすごく伸びてます。
遠藤:この春に紹介したクリアバックは、ユーザーさんからの反響がすごく大きかったです。私自身も、クリアバッグを見つけた瞬間に「これは流行る!」と思い購入したのですが、『LAURIER PRESS』でも紹介したところ、250個近く売れました。
宇佐美:ショッピング機能については、これから更に力を入れていく予定で、一緒に取り組める企業さんも探しているところです。ユーザーが「買いたい」と思ったその瞬間に、そのまま購入できる機会をもっと提供していきたいです。
遠藤:オフラインでの接点を作る取り組みはリアルイベントなどを通して今までも大事にしてきたので、ライブ配信を見ながら商品が購入できる、EC×ライブストリーミングにも注目しています。
宇佐美:直近では新たなコンテンツの見せ方を検討しているところです。紹介したいことによって、記事が適している場合もあるし、画像や動画のみの方が分かりやすい場合もあります。
例えば、ファッションのコーデ方法などは、画像のみで完結するので、記事になっていたとしてもテキストは飛ばして読んでいるユーザーが多いことが分かっています。次の大きなアップデートでは記事以外の別の方法での情報提供のフォーマットを検討しています。
遠藤:何でもないものを可愛くする術を、もう女性はみんな知ってしまっているので、ただ可愛いものを見せても響かない。『LAURIER PRESS』を通して、これが可愛いと思わせる1クッションがないと、ユーザーが納得しないフェーズに来ていると感じています。
「フォトジェニック」が、ブームでなく文化になりつつあると感じているので、よりリッチな体験を届けられるコンテンツを作っていきたいです。
宇佐美:情報収集の形は常に変わっています。女性たちのライフスタイルのあらゆるシーンで参考にしてもらえるよう、最適な情報を最適な形でお届けすることが大切なので、従来の形式にとらわれず、常にユーザーのマイクロモーメントに寄り添いながらいろんな情報提供の形にチャレンジしていきたいと思っています。
2019年10月、ポノス株式会社がハイパーカジュアルゲーム市場に参入したことを発表。ポノスと聞いて、『にゃんこ大戦争』を...(続きを読む)
日本を代表するアウトドアブランド「Snow Peak(スノーピーク)」が、昨年3月に公式スマートフォンアプリ(iOS/A...(続きを読む)
ナイルが運営するスマ-トフォン専門ゲームメディア「Appliv Games」の責任者・坂井直人がゲームプロデューサーとマ...(続きを読む)