mikan・飯田 諒氏インタビュー「圧倒的な行動量で成果に近づく」

mikan・飯田 諒氏インタビュー「圧倒的な行動量で成果に近づく」

本連載「日本のアプリマーケター100人」では、アプリ業界で活躍するマーケターさんをゲストに迎え、ご自身のマーケティングに対する考えや価値観、これまでの経験などをインタビューしていきます。第6回目となる今回のゲストは、浦田愛子さん(マネーフォワード)からのご紹介で英単語アプリ「mikan」の飯田諒さんをお招きします。

大学在学中にタイのスタートアップで働いた経験を持つ飯田さんは、帰国後にフリーランスのライターとして活動しながら書籍の翻訳なども手掛け、2018年に英単語アプリ「mikan」にジョイン。

圧倒的な行動量で道を切り開き、マーケティングだけではなくエンジニアやコンテンツ制作まで自ら行い、いちからプロダクトを成長させてきたお話を伺いました。

 

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飯田 諒 株式会社mikan プロダクトマネージャー 

プロフィール
国内外のスタートアップで営業、マーケティング、ライティングに従事。英語力を活かし、洋書の翻訳も手がける。入社以来、CS/分析/BizDev/iOS開発など、多方面に携わる。

(聞き手:ナイル株式会社 高階良輔)

 

とにかく行動し続けることがキャリア形成に繋がる

-本日はよろしくお願いいたします。まず、これまでのキャリアについて伺っていきたいのですが、飯田さんは学生時代からかなりチャレンジしてきたそうですね?

飯田:はい。まず、大学3年生のときにいろんなサマーインターンに応募したのですが、全部不採用という結果でした(笑) その結果を受け止め自分の実力をつけようと、休学も視野にいれて長期のインターンに応募し、最終的にデロイトトーマツベンチャーサポートのリサーチャーに合格しました。

 

-全て不合格はかなり辛いですね・・・(苦笑)いま振り返って、なぜ不採用だったと思いますか?

飯田:生意気なところがあったからだろうなあと思います(笑)当時は何の経験もない学生で、論理的思考も得意ではなく、「意思決定をした理由は?」「これからどうしたいの?」という質問に対し、あまり上手く答えられませんでした。

 

-タイのスタートアップ企業へはどのような経緯だったのですか?
飯田:リサーチャーとして働きはじめていろんなスタートアップを調べるうちに、スタートアップに興味を持ったのがきっかけです。海外へ行くのが好きで、東南アジアには何度も1人旅していたので、現地のスタートアップで働きたいと、いろんな企業をリストアップして片っ端から連絡し、最初に連絡がきたEmpag(現Emerge)という動画制作会社でインターンを始めました。タイにある会社なのですが代表は日本人で、コミュニケーションは日本語と英語が半々ぐらいでしたね。

 

-Empagではどういった業務を担当されていたのでしょうか?

飯田:営業です。日本で受託した案件をタイで制作するオフショア企業ですが、タイ国内の企業にも営業活動を行っていました。その頃はSNSで料理動画がトレンドで、タイの食品会社にテレアポ営業などをして、約8ヶ月間勤務しました。

在籍期間中にこれといった成果が出せず悔しかったのですが、当時自分の撒いた種が、その後の会社の売上に大きく貢献したらしく、退社して1年後に突然、歴代インターンの中でMVPの1人に選ばれとても驚きました(笑)

 

-長期的に見れば、飯田さんの働きが成果になっていたのですね。日本に帰国してからは何をされていたんですか?

飯田:タイに居た頃から周りの人に起業を勧められ、自分でもそうしたいと考えてました。しかし当時の自分は仕事で成果も出せていなかったですし、どうしても解決したいと感じる課題もなかったので、帰国後、まずは会社に頼らなくても稼げるようなスキルを身に着けようと考えました。

タイ在住時からライターの仕事に興味があり、インターンの傍らタイ在住の起業家にインタビューをして記事を書いていたので、日本に帰ってからまず自分のブログを立ち上げ、情報発信することにしました。

また、翻訳も比較的得意な方だったので、海外の起業家に連絡して許可をもらい、講義やブログなどの翻訳も同時にやっていたところ、僕の記事を見た企業から「うちで働かないか」と声をかけて頂き、業務委託として働き始めました。

 

-その後、mikanにジョインされていますが、どういったきっかけだったのですか?

飯田:SNSでベンチャーキャピタルの方からダイレクトメッセージを頂き、「mikan」を紹介されたのがきっかけでした。「英語が好きなら絶対におもしろいよ」と言われて興味を持ち、2018年に業務委託としてジョインしました。この時、既に2社で業務委託をしていたので、日中はそちらで働き夜の9時からmikanで働く、というなかなかタイトなスケジュールでしたね(笑)

 

-2社で業務委託として働きながらとは、すごいですね。飯田さんは学生時代からとにかく行動し続けて、それがご自身のキャリアアップに繋がっているという印象があります。

飯田:とにかくその場で自分ができることをやってきたなと思っています。ブログやSNSを使うこともそうですし、特にTwitterは、たとえ沢山のフォロワーを抱えるほどの影響力を持てなくとも、自分から積極的に動くことで、人との出会いやキャリアアップに繋がる便利なツールだと感じています。最初こそ、DMで仕事の依頼がくるなんて思いもしていませんでしたが、書籍の翻訳など素晴らしい経験をさせてもらうきっかけもTwitterだったんです。

mikan飯田さん_Appbrain_marketer_interview

-まさにデジタルネイティブ世代のやり方ですね。私の世代からすると非常に新鮮です。

「いま会社にもっとも貢献できることは何か」を考えて行動する

-「mikan」には最初、業務委託で関わっていたとのことですが、当時はどういった仕事を担当されていたのでしょうか?

飯田:当時のmikanはいわゆる第二創業期で、代表を除くとメンバーは自分1人だけでした。代表がエンジニアで実装を担当し、自分はそれ以外のマーケティングと分析を担当する2人体制でサービスを運営していました。

 

-その頃は具体的にどういったマーケティング施策を行われていたのでしょうか?

飯田:最初に行ったのはアプリへの流入増加施策です。具体的は、運用型広告やYouTuberを起用したマーケティングをやっていました。

TwitterやFacebookなどの運用型広告を行いながら、英語や海外に関する動画を作っているYouTuberに声をかけて動画を制作してもらうなどやっていました。YouTuber施策は効果がかなり高く、CPIは約60円ほどでした。ただ、どれも100万回再生されるような動画ではないため、施策として規模の拡大が課題でした。

 

-業務委託から、いつ正式に入社されたのですか?

飯田:業務委託として「mikan」に関わるようになって約半年後、2019年4月からは社員になりました。その半年間の間に、マーケティングを担当しながら、未経験からSQLを習得してユーザーの行動分析・施策出しをしたり、次にコンテンツ制作のためにPythonを習得、その他には出版社のコンテンツを獲得するために営業やアライアンスを担当しました。

そこまでは代表と自分の2人の会社だったのですが、2019年の6月からは社員が増えて3名になりました。自分も2019年5月からは、未経験ですがiOS開発エンジニアにキャリアチェンジして、それ以来2年間はmikanのiOSアプリ開発をメインで担当しています。

2020年, 2021年で採用を強化していて、チームの規模は現在は10名ほどになり、自分自身も最近はiOS開発から離れて、プロダクトマネージャー的な役割を担当しています。

 

-飯田さんはマーケターからエンジニアまで非常に多彩なキャリアを歩まれていますが、どういう基準で担当する業務を選ばれてきたのでしょうか?

飯田:業務に一貫性はないのですが、あるとしたら「mikan」のアプリビジネスに今もっとも貢献できることはなにかを考えて行動してきたということだと思います。

特に、当時のmikanはやりたいことをすべてやらせてもらえる環境で、アプリ事業をやっていて、かつ人数が少ないフェーズでは、マーケティングよりも開発の方がインパクトが大きいということで、iOS開発を勉強させてもらえたんです。アプリビジネスが未経験でiOS開発もわからない自分を育てて「将来アプリ全体を見れるようになって欲しい」という代表の意図があったんだと思います。

定量分析に偏ると失敗する、コアユーザーの声を聞いた改善施策

-正社員になってからご自身が担当した施策の中で、印象に残っているものやその後の成長の糧となったものはありますか?

飯田:そうですね。2つあるのですが、ひとつはリマインダー機能と目標設定機能の実装です。


まず目標設定機能に関してですが、「mikan」のような学習アプリの場合、初日に良い体験をしてもらうことがその後のリテンションに繋がると感じていました。

それまでは、アプリ側が一方的にユーザーの目標を設定し、達成すると褒めるような仕様にしていたのですが、「ユーザー自身が目標を設定した方が初日の体験がより良くなるのではないか?」と考え、新規登録の際に自分で目標を設定してもらうよう改善しました。

また、当時の「mikan」は夜に「今日のひとこと」のプッシュ通知を送るだけで、リマインダーの機能はありませんでした。ところが、ヘビーユーザーにインタビューをしてみると、継続してアプリを使用している方は、お風呂に入った時や通勤電車に乗った時など、「同じ時間に」「同じ場所で」アプリを使う方が多かったんです。なので、リマインダー機能を実装し、登録初日のオンボーディングに組み込んで、設定してもらうようにしました。

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▲改善後(左:目標設定機能、右:リマインダー設定機能)

 

目標設定の後にリマインダー機能の案内をすることで、リマインダーを設定する理由づけになりますし、リマインダー機能を実装することで、プッシュ通知の許諾に対する理由づけができ、許諾率が向上しました。

結果、設定した目標を自ら達成する設計になったため、初日の体験が向上たこと、また、多くのユーザーにリマインダーが届けられるようになったことによって、継続率に大きな効果がありました。

▲実装前後の変化(※リテンション数値)

 

もう1つが、ビジネスモデルの刷新です。これは売上成長に大きく影響がありました。当初出版社さんの書籍をmikanのコンテンツとして提供するときに、「mikan」とは別のアプリで提供していたのですが、そうしたコンテンツをすべて「mikan」のアプリ内で提供するように再設計し、サブスクリプションとして提供開始しました。

複数のアプリを運営している状態ですと、横断的なアップデートができず、メンテナンスに時間がかかっていたんですね。アプリのビジネスモデルの設計から見直して改善した結果、その他上記の継続率の改善などもあり、アプリの売上が2018年から約2倍になっています。

▲アプリの売上推移(mikan提供)

 

-継続率を上げるような施策や仮説はどうやって導き出しましたか?

飯田:ユーザーインタビューです。ヘビーユーザーに話を聞いていくうちに「なぜやるのか」「どうやるのか」「いつやるのか」が決まっている方は、アプリ使用を継続しやすいと感じました。

「テストのために勉強する」「単語カードを覚える」「移動中に電波が届かなくなったらやる」といったことを決めている方は、共通してアプリを継続使用されていたんですね。

インタビューはかなり個人差があるので難しかったのですが、抽象化してモデル化するといいよ、というアドバイスを参考にしました。

インタビュー以外にも、他社アプリのオンボーディングを参考にしました。どこも検証を繰り返しながら機能追加をしているはずですから、今アプリに実装している機能は、検証で一定効果が出ているに違いないと思い、他社が実践している施策なら効果が出やすいだろうと、他のアプリをとにかく触って参考にしました。

 

-なるほど、外部の意見を素直に取り入れて改善していったんですね。

飯田:mikanという会社には「知見がある人に話を聞こう」という姿勢があるんですね。第一創業期の頃は、専門家に聞かずに自分たちであれこれトライして失敗して改善しての繰り返しで、成果を出すまで時間がかかったらしく、「知見のある人から話を聞いて、避けられる失敗は避けた方が早く進める」というのが今のmikanの基本的な考えです。

それから、mikanには素直なメンバーが多いことも理由のひとつだと思います。社内で360度フィードバックなども行っているのですが、もらったフィードバックを素直に受け止めて、すぐに改善しようとするメンバーばかりなんですよね。全体として、まずは言われた通りにやってみようという姿勢があると思います。

 

-色々とアプリの改善を繰り返してきたなかで、過去に失敗してしまった施策はありますか?

飯田:アプリの「実質有料化」ですね。ほんの一時期ですが、流入した新規ユーザーに対して、課金しないとアプリが使えない仕様に変更したことがあったんです。

「mikan」のような学習アプリはジムと同じで、初日のモチベーションが最も高いんですね。ジムも入った当初が1番モチベーション高くて、そこからだんだん下がっていくものなので、初日に課金ポイントを持ってくればみんな課金してくれるのでは?と考えたんです。

しかし、当時は「無料で使える」というクチコミを見てアプリをインストールしてくれたユーザーが多かったので「無料だと思ったら課金させられた」といった批判的なレビューが急増してしまいました。

結果的に、この施策はすぐに撤回することになったんですが、失敗の原因はユーザーの方を向かずに、自分たちの仮説のみで施策を実行してしまったことだと思っています。そこから今のようにユーザーインタビューなど、ユーザーの声を聞くことを重視するようになりましたね。

 

どんなアイデアも肯定することで行動量を確保する

-たくさん行動して失敗のナレッジを積み重ね、成功率をあげていったとのことですが、行動量を増やすために取り組んでいることなどはありますか?

飯田:代表の人柄として「どんなアイデアにもダメと言わない」というものがあります。出てきたアイデアに対して絶対に「いいね!」とポジティブな反応を送る文化が会社としてあります。だから、誰でも、どんな意見でも言えるような雰囲気があります。


それから、mikanのバリューの1つに、”Why” Drivenというものがあります。事業成長させるために必要だという”Why”があれば、それはやるべきだと考えていて、「新しいことは怖いからやりたくない」といった”Why” Drivenでない考えは採用せずに、Whyがあるなら新しいことも怖いこともなんでもやってみようと考えています。

 

-大変おもしろいです。競合との差別化の部分についてもお聞きしたいのですが、「mikan」では他アプリとの差別化にどのように取り組んでいるのでしょうか?

飯田:基本的に、勉強することは褒められることだと思うんですよね。「mikan」というプロダクトには、人は褒められた方が頑張れるという思想が根底にあって、ユーザーをとにかくたくさん褒めるようにしていて、それが「mikan」らしさになっていると感じてます。

 

-意識して他者との差別化を行うのではなく、思想を追求した結果が差別化に繋がっているということですね。最後になりますが、飯田さんが考える「これからのアプリマーケターに求められること」はなんでしょうか?

飯田:アプリビジネスでも、自身のキャリアパスにおいても、改善サイクルをとにかく早く回すことが重要だと思います。とにかく大量に行動して、失敗することが最終的には結果に繋がっていくと思います。

 

 

-本日はありがとうございました。

飯田さんご紹介 アプリマーケターにおすすめの本

「mikan」に入社した頃、代表のことを「絶対に敵わない人だな」と思っていたのですが、この本を読んで、自分と代表の差は知識の量なんだと気付かされました。頑張れば(どんなすごい人にも)追いつけると思える本です。

次回のゲストマーケターは?

「日本のアプリマーケター100人」では、リレー形式で次のゲストマーケターの方をご紹介頂きます。株式会社mikanの飯田 諒さんからのご紹介は、DiDi Foodの三浦さん。

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飯田さんからの推薦理由

リアルのCtoCサービスとしての地域戦略、また外資系企業で日頃さまざまな国籍の方と働いていると思うので、異文化の中で成果を出すための考え方をお伺いしてみたいです。ご自身のブログがバズっていたり、Tiktokでフォロワーが何万人もいたりと、同世代のマーケターとして、グロースハックといえばこの人だと思っています。

 

「日本のアプリマーケター100人」、次回は9月上旬を予定しております、お楽しみに。

 

今回のゲストマーケター・飯田さんが働く株式会社mikanは現在、以下の職種を絶賛採用中です。
・iOSエンジニア
・Androidエンジニア
・サーバーサイドエンジニア
・分析
・デザイナー
・人事

mikanでは、英単語アプリのグロースだけでなく、英語アプリへの進化に力を入れていく予定です。
ガッチリした基盤を元に、新たに事業を作っていく非常に面白いフェーズです。最高のチームメンバーと、ひたすらにユーザーに向き合っていいプロダクトを作ることができる、素晴らしい環境だと思います。
少しでも興味を持ってくれた方は、僕のDMでも、以下のリンクからでも、ご連絡をいただけますと幸いです!
mikan採用情報  https://mikan.link/careers

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