【マーケター特別対談vol.01】ブシロード森下氏×マイネット倉友氏、イケてるマーケターは「会計知識」を持っている

【マーケター特別対談vol.01】ブシロード森下氏×マイネット倉友氏、イケてるマーケターは「会計知識」を持っている

今回からスタートするAPP BRAIN特別企画は、ブシロードのマーケター・森下氏をホストに毎回ゲストを迎えたマーケター対談を全3回に渡ってお届けします。

以前のインタビューにて、マーケターの本質は“事業の売上や営業利益に最大限貢献し事業成長に責任を持つことである”というお話を伺いました。マーケティングとは、顧客視点に立ち、顧客に価値を提供する。その対価として利益を得る一連のプロセスであり、それを実行するのがマーケターの役割です。

まず、マーケターに求められるスキルの全体像を森下氏よりご説明いただきます。

森下氏:マーケターとは”事業の売上や営業利益に最大限貢献し事業成長に責任を持つ人”であると定義した場合、カバーすべき業務の範囲は以下の通りかなり広範になります。

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(下図:『データ・ドリブン・マーケティング』から引用 P40 図18)

森下氏:1枚目の図は事業戦略立案における思考プロセスを簡単化したものです。主に経営層とよく対話するビジネスパーソンであれば知っておかなければならない内容です。我々が主戦場とするモバイルゲームビジネスにおいて、事業戦略を遂行するための手段の多くがマーケティング領域の話となります。そのため、2枚目の図のマーケティングフローに関して深く理解し、実務で活用できることが求められます。

2枚目の図のスキル欄でマーケターに求められるスキルを記載しました。その多くが今回対談テーマにあげたスキルです(問題解決思考についてはまたどこかで言及できればと思います)。

モバイルマーケターの守備範囲=WEBプロモーション と捉えられている方は多いのではないでしょうか?WEBプロモーションスキルも大事ですが、それだけ出来たとしても2枚目の図の通り、マーケティングプロセスのごく一部分でしか貢献できません。ですので、マーケターとして、事業の売上や営業利益に最大限貢献し事業成長に責任を持ちたいのであれば、本記事で連載するすべてのスキルを習得する必要があります。

ですので本連載は、理想のマーケターに求められる様々な要素を、スキル別にそれを実践するスペシャリストの方と共に掘り下げていくことで、マーケターの皆さんにとって日頃の実務に役立つコンテンツを目指しました。

APP BRAINマーケター特別対談企画 Index(全3回)

vol.01 イケてるマーケターは「会計知識」を持っている
vol.02 イケてるマーケターは「分析の技術」を持っている
vol.03 イケてるマーケターは「プロモーションの技術」を持っている

第1回 ケてるマーケターは「会計知識」を持っている

マーケターとして、会計リテラシーは絶対不可欠

森下氏:マーケティングを行うにはまず、ビジネスモデルを理解することからはじまります。ビジネスモデルとは言い換えると、どのようにして売上・利益をあげるのかという「収益構造の分解」と言えます。私達マーケターは売上、営業利益に貢献する為、あらゆる切り口で、モバイルアプリのビジネスモデルを理解してそれを分解する力が求められます。そこで必須となるのが会計リテラシー。連載初回である今回は、マーケターにとって会計知識がいかに重要なのか、具体的にどう学べば良いのかについてお話していきたいと思います。

<対談ゲスト紹介・プロフィール>

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数学はできるけど会計はできない、新卒1年目「会計」との出会い

森下氏:倉友さんはこれまでにモバイルアプリのプロデューサーをはじめ、様々なM&Aをご経験されている会計のスペシャリストですが、元々は理系で学生時代は「会計」のかの字も知らないところからキャリアをスタートされたんですよね?ご自身のキャリアに会計スキルがどう結びついていったのでしょうか。

倉友氏:大学時代は無機化学を専攻し研究職を目指していたのですが、実現が難しいと分かり諦めまして、当時もてはやされていたITベンチャーに就職しました(笑) 会計に出会ったのは入社から半年後、営業企画に移動して営業戦略を考えるにあたり「管理会計」というものを知りました。

「財務会計」よりも先に、いきなり実践的な会計スキルが必要になったのですが、粗利という用語が何を指すのかもよく分かっていない状態で「あっ、これはヤバい」と思ったんですよね。知識ゼロの自分が勉強をはじめる際に目標としたのが、一般的に会計を知っていると言えるレベル「日商簿記2級」です。

財務会計:利害関係者に報告(提出義務)義務があるもの。有価証券報告書など。

管理会計:マネジメント会計とも言い、自社の事業を成長させるために用いる会計手法。経営管理者の意思決定や組織内部の業績測定・業績評価に役立てることを目的としている。

<参照リンク> https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/89/

森下氏:私も会計を学び始めたのは社会人になってからで、それこそ倉友さんの「会計を勉強しなさい」という一言がきっかけでした。今回改めて、マーケターにとってなぜ会計知識が重要なのかについて教えて下さい。

なぜ重要か?会計を学ぶべき2つの理由

倉友氏:これまで仕事をしてきた経験として、2つの理由があります。まず1つに、会計を知っていれば自分の仕事が会社にどのくらいの利益をもたらしているのか、貢献度を把握できる。もう1つはキャリアパスにおいて会計知識は必須スキルであるということ。

どこの会社においても執行役員、取締役以上でPL(損益計算書)を読めない人はまずいません。一定以上の役職の人と意思疎通を図るうえで、会計知識を持っておかなければコミュニケーションができないと考えてください。

森下氏:会計知識がないと、目指すべきゴールと打ち手が見えないですよね。また、経営者層との会話では背景情報や途中の思考プロセスを飛ばして、儲かるのか儲からないのか結論だけのコミュニケーションが求められることもあるので、ツールとして会計知識を持っておかないと、まるでコミュニケーションができない感覚に陥ってしまうこともあります。

倉友氏:そうですね。例えば、自分がやりたいプロジェクトがあったとして、その予算を確保したい場面でどうやったら上司をうまく説得できるか。経営者層の人達というのは、常にPLや管理会計の発想で物事を判断しているので、会計を分かっていないと交渉は難しいでしょう。

森下氏:管理会計をベースに事業計画が書ければ、予算交渉の話が通しやすくなりますよね。会計の知識を使って私が作ったソーシャルゲームの事業計画表がこちらになります(図1参照)。

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▲図1:ソーシャルゲームのPL雛(架空の数値でプロット)

森下氏:もし、管理会計の知識がないマーケターがソーシャルゲームの事業計画を書くように言われた場合、売上、ダウンロード数やDAU、課金率あたりの数字を同ジャンルの競合タイトルを参考に感覚値で埋めるしかないかと思います。ですので、その結果として信憑性の低いざっくりした数字で予算交渉をする他ありません。さきほどの話に出てきた、経営者層との会話にマーケターがとても苦労するか気がします。

倉友氏:なるほど。ゲームアプリは市場が右肩上がりだった数年前までは、ここまで高度な事業計画を求められなかったでしょうね。そこに費やすコストよりも早く新しいアプリを出すことのほうが重視されていたように思います。しかし、その様な会社ほど、いまのアプリゲーム市場で苦しんでいるとも言えるのではないでしょうか。

森下氏:未来の需要状況を読むというところですね。

倉友氏:そうです。今回は管理会計をベースにした考え方の参考として、「市場予測」について説明します。日本のゲーム市場は成熟期を迎えていると言われていますが、これはただ単に新しいユーザーが入ってきていないからだと私は考えています。事実としてゲームをする人口自体はそれほど増えていません。

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▲図2:日本におけるスマホゲーム市場規模推移
(出所:(株)矢野経済研究所「スマホゲーム市場に関する調査(2019年)」2020年2月17日発表

これから5Gによってゲーム市場が成長するという予測をよくみかけます。もしこの先5Gで面白いゲームが登場すると仮定すると、ここで重要なことは、ユーザーが既存のゲームから5Gへ移るのかどうかです。もし、既存ユーザーが移らなかった場合、5Gによって新たにゲームを始める人の数を増やさない限り、「5Gによってゲーム市場が成長する」という予測は間違いになります。ただ闇雲に集客を行っても利益にならず、5G市場は失敗と言うことになります。つまり、5G市場の成功はマーケターが投資効果を考えながらどれだけ集客できるかにかかっていると言えます。

こうした考え方を身につけるというのが会計を学ぶということです。会計は自分の会社への貢献度を把握する力であり、キャリアアップを目指すなら絶対に不可欠なスキルになります。

売上を上げつつ、営業利益を上げることが大切である

森下氏:事業計画が書けるという以外にも、会計知識を持つ人が実践する考え方について話を広げていきたいと思います。まず1つ目は、売上と営業利益の関係性。

倉友氏:弊社マイネットという会社はゲームは作らず、他社様からの買取や協業によってタイトルを仕入れ運営をしています。これまでに沢山のゲームアプリを見てきたなかで、私が非常に気になったのが、投資回収のフェーズを見誤った結果、弊社に声をかけてくるケースが多いことです。

リリース初期の段階は、開発費用やローンチプロモーションで赤字からスタートしているので売上をあげようとみなさん当然意識しますが、必ずどこかの時点で投資したものを回収するフェーズに入らなければいけません。そもそも、ソーシャルゲームというジャンルにおける売上は、なだらかに下がっていくものだと言われています。例えば、リリースから6ヶ月で2億に到達しなかった場合、それ以降は回収フェーズに入るといったように、利益の回収目標を決めたうえで採算分岐点を作るようにするべきだと思います。

なぜ回収フェーズを決めておく必要があるのかというと、売上は下がっていくものなので、必ずどこかの時点でコストを圧縮したり広宣費を削るなどして利益を確保することになり、最終的に開発費などの投資費用を回収しなければいけません。これは事業ですから絶対です。

ですので、売上が上がらなくなり、回収フェーズにフェーズに移行しているにも関わらず、いつまでも広宣費をつぎ込むというのは大きな間違いです。この時点からは、投資回収が可能な範囲で延命できるような広宣費で打ち続け、そのプロジェクトの営業利益最大化(長期で見たときの黒字幅を大きくすること)を目指しましょう。

 

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▲図3:リリースからクローズまでのソーシャルゲームの売上・営業利益推移(架空の数値でプロット)

今までの話をまとめると、図3の投資フェーズでは売上のトップラインを上げるために営業利益は赤字となります。先程申しました通り、例えばリリース後半年以内に2億円/月の売上を超えていない場合、投資回収フェーズに入るというラインを決める必要があります。上図の場合、リリース6ヶ月で2億円のラインをクリアしたものの1周年終わりの13ヶ月目、14ヶ月目のロイヤルユーザーの離反に伴う売上低下が著しく、防衛ラインの2億円を割ったため、中長期回収フェーズに移行したという前提です。

森下氏:ソーシャルゲームというジャンルにおける売上は、なだらかに下がっていくものという観点に関して同意見です。稀に右肩上がりの軌道を示すものもありますが、昨今その軌道を描くアプリは極めて少ない印象です。また、ソーシャルゲームはリリースから時間が経てば経つほどLTVは経年劣化しますよね。それも織り込んで売上がどこを下回ったら回収フェーズに入るかを事前に形成合意を取ることが大切ですよね。普段、Web広告単体で運用を現場でゴリゴリやっているマーケターで倉友さんのような俯瞰した視座でこのような判断ができる人はほとんど居ないんじゃないかなと思います。

倉友氏:では、いまの話をWeb広告を運用しているマーケター向けに言い換えてみましょう。まず、ローンチ時点のプロモーションであればCPIベースで良いと思いますが、中長期回収フェーズに切り替えた後にROASをどう設定するかがポイントです。

先程お話した通り、回収フェーズにおいては、最終的にその広告を出し続けても儲かる状態を作るため、広宣費の最適化が必要ですマーケターが考えなければいけないのは、回収効率かつ営業利益率が高いお金の使い方です。単に消化額が大きければ良いと考えてしまいがちですが、フェーズ毎に利益率を考慮してその設定を変えられる人が評価されるべきかと思います。

 

▲図4:フェーズ別のマーケティングKPI設定

イメージしやすいように、図4のように各フェーズでの設定KPIを示しました。投資フェーズでは売上のトップラインを伸ばすためにCPI或いはブースト広告のような低CPIだけれども売上に直結しないインストールを入れないためにCPD3(インストールして3日後に起動するユーザーを獲得するための単価)などをKPIに置きます。中長期回収フェーズでは120日ROAS→90日ROAS→60日ROASのように回収までに数ヶ月かかるけれども、投資回収が見込めてプロダクトの延命が可能な範囲での配信を行う必要があります。基本的にはソーシャルゲームアプリでは広告を配信し続けることによりCPIは高騰します。

更にこのフェーズになるとアプリの経年劣化に伴い新規ユーザーのLTVを上げることも中々難しい状態になります。そのため、時間を追うごとに設定KPIを120日ROAS→90日ROAS→60日ROASのように回収期間を短くしていく必要があります。そうしないと広告費を回収できず、アプリクローズまでに営業利益を最大化することができないためです。短期回収フェーズも同様で、引き続き30日ROAS→当月ROASと回収期間を短くしていき、回収不能になったタイミングで配信を停止します。そこから当該アプリの売上に貢献してくださるユーザーにフォーカスした施策を通じてアプリクローズまでの営業利益を最大化します。

森下氏:おそらくほとんどのマーケターは、収益が鈍化してくると回収期間を延ばしてしまいがちだと思いますが、回収フェーズにおいて本来その逆であるべきですよね。

営業利益の観点で考えれば、広告費の回収が担保できなくなった時点で回収期限をどんどん縮めていきつつ、いずれ然るべきタイミングで広宣費0円、最終的にクローズへ向かっていく流れがベストであると改めて気づきがありました。考え方としてはやることは当たり前ですが、これはすごく大事なことですね。今までの流れをよりわかりやすく理解するためにフェーズごとの累積売上と累積営業利益をグラフ化したものに売上高広告宣伝費率をプロットしたグラフと売上高開発比率をプロットしたグラフを用いて説明します。

 

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▲図5:累積の売上・営業利益推移・売上高広告宣伝費率

図5でわかることとしては投資フェーズでは売上のトップラインを伸ばすために売上高広告宣伝費率は100%超え~60%あたりを推移、結果的に青矢印の通り急勾配に累積売上は上昇しました。投資フェーズであるため、累積営業損失も増えておりますが、投資フェーズ後半の10~12ヶ月目当たりで横ばいとなっております。

その後、中長期回収フェーズに入ると灰色の矢印の通り、売上高広告宣伝費率は右肩下がりに推移しており、最終的にはリリース後35ヶ月目に当月回収できる配信先がなくなったため配信を停止しております。その結果、オレンジ色の矢印の通り、中長期回収フェーズに入ってから累積営業損失幅は縮小して、累積営業利益が出始めたタイミングがリリース後35ヶ月目でした。また中長期回収フェーズに入ると、青色矢印の傾きが緩やかになります。これは売上の伸びが鈍化していることを示しており、むしろ前月の売上からいかに下げさせずに推移させるかにフォーカスする局面に入ったことを意味しております。

 

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▲図6:累積の売上・営業利益推移・売上高開発費率

また図6はリリース後のゲーム運営に必要な開発に必要な人月工数を表しております。何故、開発費に着目するのかというと開発費は広告宣伝費と同様、費用計上額が大きく営業利益に対する感度が高いためです。まず、投資フェーズではより多くのユーザーに楽しんでもらうコンテンツの実装やリリース後のSバグを潰すなど様々なタスクが存在するため、80人月を投じて運営していたとします。投資フェーズにおいては売上が鈍化すればするほど売上高開発比率は上がります。

中長期投資回収フェーズでは、周年を迎えたこともあり新規ユーザーは入りにくくなる状況の中で、開発が注力するポイントも既存ユーザーの満足度をあげる運営に絞られてくるため人月工数を削減した運営を目指します。その結果、このタイミングで売上高開発比率は落ちますが、図3でお伝えしたとおり、広告KPIも投資回収を120→90→60日ROASと厳しく基準を置くため新規インストールは減少を続けます。結果として売上のトップラインは減衰しますので、売上高開発比率は上昇していきます。

短期回収フェーズに入ると、長期運営アプリとなってきて固定ファンのためのコンテンツ投入が主な開発のTODOであるため運営工数を40→30→20人月と効率重視の運営に切り替えていきます。そのため売上高開発比率は一定の上昇下落を繰り返しながら営業利益が最大化する運営を目指します。

倉友氏:ロジックとして真逆のことをやってしまうマーケターの判断に関しては、別の数字も同時に追っている(例えば獲得数)など、目標設定にその原因となる要素があるのではないかと感じています。

マーケターを適切に評価するための目標設定とは?

森下氏:目標設定というお話が出ましたが、マーケターのモチベーションとして目標設定の持たせ方はとても重要ですね。「管理会計上の営業利益を最大化する」をベースに、フェーズ別で追える目標設定することで、おおむね解決できるように思いました。

倉友氏:ベースは営業利益においたうえで、毎月変動する売上・LTVをどう設定してあげればよいのかまで考えるべきかなと。繰り返しになりますが、アプリは絶対赤字でスタートするので、どの時点で黒字化できるようマーケターがどう努力するのか。投資回収フェーズの際、ユーザーをより多く獲得できたらそれは素晴らしいですが、最も重要なのは利益であることを理解して向き合ってほしいですね。その投資回収フェーズをどの時期に設定するかは、上司がしっかり決めて伝えてあげましょう。

以下の図7の累積営業利益をいかに最大化できるかがポイントです。ですので、見るべき点としては図7の濃い青色部分の各フェーズについてです。例えば、中長期回収フェーズにおいて、120→90→60日ROAS目標で多くのインストールボリュームをとりながらいかに長い期間その回収基準を死守できるかが、マーケターの腕の見せ所(=評価基準)です。

この例では、薄い青色部分の通り120→90→60日ROASでの回収期間をリリース12ヶ月間からリリース18ヶ月まで半年伸長させることができました。且つその制約条件下でボリュームを多く獲得できたのならそこを評価すべきです。結果的に累積営業利益が黒字転換するタイミングがリリース35ヶ月目から20ヶ月目に改善されております。最終的にアプリがクローズするまでの累積営業利益は図5とは比べ物にならないほどの差となりました。

 

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▲図7:あるべき累積の売上・営業利益推移・売上高広告宣伝費率の推移

また、代理店側のマーケターの中には、常に安くユーザーを獲得する事を求められ苦戦している人もいるかと思います。しかし場合によって「今は広告を打たないほうが良いですよ」とアドバイスができることも、広告主からの信頼を得ることに繋がるはずです。

森下氏:彼らの立場からすると、広告プロダクトありきで動いているので、その提案をしないという選択肢は本来あり得ないものだと思いますが、我々が運営しているアプリのことを深く理解していくなかで、ゲーム内の収益改善を提案してくれたらすごく頼もしく感じられると思います。

倉友氏:今回のコロナウイルスの件もあり、代理店も広宣費が削られて厳しい状況に置かれているかと思いますが、ゲームのリリースは無くならないですし、ローンチプロモーションだけでなく、運用フェーズでどれだけプロダクトに寄り添った提案ができるかでその代理店との付き合いが変わってくると思います。

働くうえで大切にしていること・行動指標

森下氏:最後に、仕事をするうえでのマインドや倉友さんご自身が大切にしてきたものはなんですか?

倉友氏:根本にあるのは、いま一緒に仕事をしている人たちと社会の役に立ちたいという精神的なものが最も大きいですね。そこで周りの人達を手助けするために、自分が学んでいるのが会計という知識なのかなと。

例えば、いま自分の会社がどういう状況なのかって、実は働いている人でもよく見えないですよね?もし会計の知識があって、上場企業または会社のPLやBSといった資料を見られる立場であるならば、自分で会社の状態を評価することができるようになります。自分のスキルによって得たもので誰かをサポートしたい、仕事に対するマインドは変わらずそこでしょうね。

ーーありがとうございました。

 

実務に活きる会計を学ぼう

appbrain_BR_Interview_profile02自分の担当タイトルの事業計画をつくって、リリース後に答え合わせをすることが一番早いかなと思います。例えば、モバイルアプリの事業計画=PLを作るのにはインストール数、RR、PUR、ARPU、ARPPUが時系列データとしてシミュレーションされなければなりません。時系列という部分が大切です。例えば、リリース初日、二日目にインストールユーザーがそれ以降に流入するインストールユーザーと比較してRRやPURなど継続系・課金系のKPI全て上振れしつづける。そのアプリの中長期的な売上に貢献し続けるということです。

 

 

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時系列を加味した全ての変数をどのような定量的根拠に基づいて当てはめるのかが重要です。その根拠に正当性を持たせるにはどうしても徹底した3C分析が必要です。自社のアプリのUIUXフローや搭載するIPでゲーム性やDAU、RR、自然流入数など継続率周りのKPIとPUR、ARPUなど課金系のKPIの相場感が決まります。それが自社ゲームを取り巻く制約条件です。それを踏まえて、競合タイトルのそれらの各KPIを分析することで、おおよその誤差の範囲で自社の各KPIを推定することが可能です。

また、レベニューシェアやプロフィットシェア等の経済条件、トップオフする項目、サーバー費、ツール費、版権使用のための手数料、初期開発費の減価償却、運営に必要な人月費用などの費用部分を加味して営業利益がどの程度残るのかが数値を当てはめることで見えてきます。その制約条件の中でマーケターとして予算をどう配分して、自社が求める売上・営業利益を出すか考える訓練を担当タイトルで必ず行う必要があると思います。

その上で補助的に会計を勉強するためにこんな本を読みました。私も公認会計士のような会計のスペシャリストではなく、実務で成果を出すために必要な会計知識しかインプットしておりません。実践的な局面で意思決定に困ったり、そもそも会計的にわからないことが発生した場合は有識者に聞くことにしてます。監査法人の友人でもなんでも良いかと思います。

推薦図書

『図解でスッキリ 収益認識の会計入門』(Amazon
『知識ゼロからの会計入門』(Amazon
『データ・ドリブン・マーケティング』(Amazon
『テキスト アンソニー会計学』(Amazon
『管理会計のエッセンス』(Amazon
『コーポレート・ファイナンス』(Amazon

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森下 明
株式会社ブシロード 広報宣伝部 副部長

デジタルマーケティング部門立ち上げのために2018年1月に株式会社ブシロード入社。新卒から一貫してデジタルマーケティング領域に従事しており、特にモバイルマーケティング領域に強みがございます。直近ではマーケティング戦略立案やWEBとマスを合算したトータル予算の最適化、各種データ分析手法を用いたアプリ内KPI改善などの業務がメーンになっております。スキルセットとしては、デジタルマーケティング、モバイルゲームプロデュース、データ分析が強み。 以下SNSで情報発信中ですので是非、フォローください。

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