テレビ東京が目指す視聴体験の拡張、「PBA」を導入した理由とは?【AppsFlyerインタビュー】

テレビ東京が目指す視聴体験の拡張、「PBA」を導入した理由とは?【AppsFlyerインタビュー】

AppsFlyerが提供する「ピープル ベースド アトリビューション(以下PBA)」は、チャネルを横断した“人”ベースでの包括的計測・分析を可能にしたツール。すべてのデバイス、プラットフォーム、チャネルのデータをひとつのビューとして統合することにより、これまで部分的にしか把握できなかったカスタマージャーニー全体が可視化され、オーディエンスに対するエンゲージメントの質を向上させ、パーソナライズの精度を高めることができます。

今回は、PBAを導入したテレビ東京とAppsFlyerの対談インタビューにて、PBAがデジタルマーケティングにもたらす進化について語って頂きました。

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▲今田 智仁氏(テレビ東京コミュニケーションズ メディア事業開発本部 データ・UXデザイン部)
大坪直哉氏(AppsFlyer Japan カントリーマネージャー)

 

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「ネットもテレ東」https://video.tv-tokyo.co.jp 

テレビ東京・BSテレ東で放送された選りすぐりの番組を、インターネットを通じ様々なデバイスで無料で見ることができる見逃し配信サービス。【iOS / Android

PBA導入の背景

AppsFlyer Japan 大坪氏(以下、大坪氏):テレビ東京さんのように、テレビ局が自社の放送コンテンツをオンラインへ開放していく取り組みにはどういった背景がありましたか?

テレビ東京コミュニケーションズ 今田氏(以下、今田氏):番組をネットに載せることで放送からお客さんを奪うんじゃないかと、業界内で初期はとてもネガティブに捉えられていました。しかし、テレビ東京はネットに活路を見出そうとオープンな考えを持った人間が社内に比較的多かったほうだと思います。

大坪氏:アプリが提供されたことにより、見逃した番組をPCで見たり外出先からスマホで見たりと、視聴者の動きも複雑になってきているのですね。

今田氏:はい、おっしゃる通りです。

我々のメディアとして基本的な収益は広告収入になります。広告は、デバイスではなく人に届けるものですので、最終的には人ベースで計測する必要があると考えていました。複数のチャネル(ブラウザやデバイス等)を介するユーザーの行動を同じものとして捉えていくべきではないかと。

デジタルマーケティングの業界内でも、広告やユーザー行動の様々な指標に対して、率ではなく人数でいくべきだと言う議論もされ始めています。そうした中で、いきなり人ベースでの広告計測は難しいとしても、まずはCookieと広告IDを繋げてPC/ブラウザ/スマホでユーザーの動きを追うことはやっていこうと思っていたところ、AppsFlyerさんの「PBA」の話を聞いて導入を決めました。

大坪氏:デバイスを跨いでの統合的な分析がこれまでできていなかったことが課題だったと。

今田氏:はい。社内でレポートを出しても「PCはこうです、スマホはこうです」とデータが別々の状況だった為、今後マーケティング・プロモーションを行っていくうえで、包括した数字を見たいという思いがずっとありました。広告主様に対し、インプレッションではなく誰に・何人リーチできたのかを具体化して伝えられれば、我々のビジネスも更に成長させられると期待しています。

大坪氏:御社に限らず、同じサービス内でもデバイス毎に組織化されマーケティングを行っている企業様はまだまだ多いのではないでしょうか。

今田氏:同じような課題を持っている企業は多いかもしれませんね。我々が目指しているのは、多様化するユーザーのライフスタイルに対応すべく、テレビとそれ以外の様々なデバイスを繋いでいくことです。ネットと言ってもPCやスマホをはじめOTTなど、デジタルの世界が広がっている中、テレビだけではなく、我々のコンテンツへの入り口をどんどん拡張していきたいです。

 

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https://www.appsflyer.com/jp/product/people-based-attribution

データの活用方法

大坪氏:PBAというツールでは、複数端末やプラットフォーム・チャネルを横断し、全タッチポイントを可視化し、「人」ベースでのデータを見ることができます。具体的にはどのように活用していきたいと考えていらっしゃいますか?

今田氏:そうですね、まず人ベースでのLTVをきちんと見ていきたいと考えています。アプリインストールの大部分はブラウザ経由でして、実際にそのユーザーがどういうメディア・広告を経由して、アプリをどう使っているのか把握するところから始めたいです。

ブラウザの場合、現状サードパーティーの問題でCookieの引き継ぎがうまくされなかったりするので、取得したデータに対し本当に正しいものではないのでは?と多少疑いながら見ている部分がありました。

我々のアプリの特徴の1つとして、会員登録なしで誰でも気軽にコンテンツを見ることができる仕様になっており、ログインIDが存在しません。その為どうしても1人あたりの行動導線が途切れてしまうので、PBAによって分析が可能になるということは大きな前進です。

大坪氏:PBAによるユーザーの結びつけ方として、デバイスIDとウェブIDを紐付けてユーザーDBを作れますので、ログインIDが無くともユーザーの繋ぎ込みは可能です。

 

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https://www.appsflyer.com/jp/product/people-based-attribution

 

今田氏:PCユーザー、スマホアプリのユーザーが同一人物かどうかが判別できることによりユーザーの行動が具体的に見えてくれば、広告出稿の戦略的にも費用のアロケーションにも活用できそうです。

大坪氏:ユーザーの流入経路を理解することは、広告単位のパフォーマンス改善の領域だけにとどまらず、最終的には企業の経営指標の改善にも大きく貢献できると我々も考えています。

今田氏:テレビ東京では「ネットもテレ東」のほかに、「テレビ東京ビジネスオンデマンド」という有料課金型のサービスも提供しており、今回こちらにもPBAを導入しました。

icon_tvtokyo_bod「テレビ東京ビジネスオンデマンド」https://txbiz.tv-tokyo.co.jp

テレビ東京で放送した経済ニュースや経済報道番組のほか、ビジネス系のオリジナルコンテンツをインターネットで視聴できる動画配信サービス【iOS / Android

 

前者が会員登録不要で無料なのに対し後者は会員登録+有料課金(月額税抜き 500円)になるので、ある程度ユーザーデータを取得できてはいたのですが、PBAによって一部の無料領域でしか利用していないユーザーの動向が追えるようになり、広告流入元のLTVを比較分析して広告戦略を立てるうえで必要になってくると思いました。

 

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https://www.appsflyer.com/jp/product/people-based-attribution

 

今田氏:我々にとってアプリは、コンテンツの体験を「視聴」に限定せず広げていく為にも非常に重要なものになります。

テレビの広告収入の割合の方がやはりネットに比べまだまだ高く、テレビ独自の良さを尊重しながら視聴者参加型のインタラクティブな仕掛けなどを行っていくにあたりまずアプリを活用していきたい。先程おっしゃっていた通り、広告のパフォーマンス改善の目的以外にも、データの計測・分析は必須でした。

大坪氏:スマホユーザーにおける可処分時間の約85%がアプリだと言われています。テレビという大きなマスメディアを持ちながら、デジタル領域を広げアプリを活用していくことにより、可処分時間における御社のカバレッジがより大きくなると思います。

ウェブとアプリでのコンバージョン率も大きく違ってきますので、アプリならではの強みを活かした取り組みができるのではないでしょうか。

なお、現在コロナウイルスの影響でテレビ局も新しいコンテンツ制作が非常に難しい状況にあると思うのですが、こうした状況によって今後テレビの世界でデジタルトランスフォーメーションが加速化していく可能性はありますか?

今田氏:コロナウイルスのことがあり、スタジオ収録さえ困難という状況ではありますが、未公開の取材映像をお届けするだけでなく、デジタルをうまく活用した新コーナも企画していると聞いています。そういう意味でもデジタルトランスフォーメーションは加速していくはずです。

これから大きく変化するであろう社会に対し、今後、我々が取得したデータを自社だけで活用するのではなく、様々な事業者様のビジネスに役立てられる情報としてご提供できればと思っています。

 

ー本日はありがとうございました。

 

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