AIと機械学習でアプリ内の不正ボットを検出、Adjustが語る新製品『Unbotify』の可能性

AIと機械学習でアプリ内の不正ボットを検出、Adjustが語る新製品『Unbotify』の可能性

アプリ計測用ツールを提供するAdjust株式会社は今年4月、不正なアプリ内ボットを検出する新製品『Unbotify(アンボッティファイ)』の提供を開始した。AIと機械学習を組み合わせてリアルタイムに不正ボットを阻止する新たなプロダクトとして注目が集まっている。

今回は、先日東京で行われたAdjustプレス発表会で来日したAdjust CTO兼 共同創業者ポール H. ミュラー氏とUnbotifyCEO兼 共同創業者 ヤロン・オリカー氏のインタビューをお届けする。

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▲Adjust CTO兼 共同創業者 ポール H. ミュラー氏(右)、UnbotifyCEO兼 共同創業者 ヤロン・オリカー氏(左)

アプリ内ボットの攻撃に終止符を打つ新製品『Unbotify』とは

本ソリューションは、アプリの運営に大きな影響をもたらす不正ボット(アプリ内で人間のふりをして一定のタスクを行うプログラム)をリアルタイムに検出し、ビジネスに与える損害から守ってくれる。開発したUnbotify社(イスラエル)は、今年1月にAdjustが買収したサイバーセキュリティとAIの新興企業。実在するユーザーとボットを区別することができるその技術は、機械学習の技術を取り入れた世界初のソリューションとして特許出願中。

Unbotifyの調査によると、アプリストアの消費支出が2019年末までに1,200億ドルを超えると推定される世界のアプリ経済において、ボットはアプリ運営の成果に深刻な影響を及ぼすことが懸念されているという(参考)。

ボットを悪用する不正業者はアプリのユーザー体験を悪化させ、ゲームの自動プレイやアカウントの乗っ取り、クレジットカード詐欺、スパムなど様々な不正行為を起こし、継続的に損害を与えてくる。

不正なボットがアプリに与える被害例

  • ゲーム
    ゲームアプリ内に侵入したボットが自動的にプレイを行い、アプリ内課金などゲーム上のエコシステムに損害を与える。
    その結果、アプリ内課金の減少、ユーザーのモチベーションの低下、アプリ評価の低下をもたらす。
  • Eコマース
    ユーザーのアカウントにハッキングして商品を購入したり、クレジットカードのスキミングを行う。
    偽のアカウントを作成。
    限定商品を奪い取り、高い価格で転売。
  • マッチング
    ユーザーにスパムメールを送りつけ、ユーザー体験を悪化させる。

Unbotify

ーユーザーとボットを区別する仕組みについて教えてください

ヤロン氏:『Unbotify』では、デバイスとの接触から得られたセンサー情報を元に分析し、実在するユーザーから特定の行動的特徴を抽出します。アプリの特徴ごとにユーザーの行動パターンが異なるので、アプリの自然なユーザーフローを学習することにより、ユーザーとボットを区別することが可能となります。

従来の技術はデバイスやネットワーク、OSにフォーカスし、「本物のデバイスなのかどうか」を判別することに焦点があてられていましたが、我々の技術は「デバイスを使うのが人なのかボットなのか」を切り分けるものです。

ポール氏:『Unbotify』のデータポイントは数百にも上ります。従来の技術ですと、参照するデータポイントは両手で数えられる程度だったため、スプーフィング(なりすまし)等の不正行為が簡単でした。我々はより多くのデータポイントを参照しているので、不正を働くのは難しいはずです。

なお、ここで取得するユーザーのデータは人間かボットを区別する為のみに使用することが許されており、このテクノロジーを利用して個人を特定することはできません。プライバシー規制にも準拠しています。

ヤロン氏:こうしたデータポイントを使用することで、以前よりも不正が行われにくくなっているという業績が評価され、本国イスラエルにて2018年ガートナー広告部門の優れたベンダー」に選出されました

 

ー対応可能なアプリはどのようなジャンルですか?

ヤロン氏:どんなジャンルのアプリでも対応可能です。インストール後の会員登録フロー、ゲームのチュートリアル等、アプリ内で行われる不正には典型的な行動パターンが存在するので検知することができます。一番多く採用されているのはゲーム、次にソーシャルメディア、マッチング、Eコマースなどです。

ポール氏:機械学習の技術によって人間の行動を学ぶことができるので、アプリの種類は関係ありません。また、『Unbotify』が行うのはボットの検出までで、ユーザーをリジェクトするようなことはしません

 

ーボットが検出された場合、どう対応したらよいのでしょうか?

ポール氏:企業側がどういうアクションを取りたいのかによって対策の内容が変わってくるかと思います。ボットが動かしているようなユーザーが発見された場合、対象のアカウントに対し警告を出す、リジェクトするなど企業ごとにさまざまです。

ある企業では、不正を行うボットと思われるユーザーに対し、不正を検知していることを相手に気づかせない方法を取っていました。表向きにはアプリが正常に機能していると見せることで不正な行為を抑え込む有効な手段です。

 

ー導入して効果のあった事例について教えてください

ポール氏:既に世界的に有名なソーシャルメディアやソーシャルゲームに『Unbotify』を導入して頂いており、ユーザーの継続率の改善に効果を発揮しています。特にeスポーツにおいて、大会を開催するにあたってボットが存在しては困るので、このツールが非常に有効だと言えます。

『Unbotify』を導入するにあたって

ー導入時にはどういった手順が必要ですか?

ポール氏:まず最初に各アプリの課題を理解し、Unbotifyを利用してどのように課題を解決していくかビジネスケースを作成します。ここでは、自社アプリをどの地点でどのように守りたいのかを相談の上、決定します(会員登録フローや、ゲーム内における特定のフェーズ等)。

その後、UnbotifyのSDKを入れて頂き、モニターする内容と特徴的なユーザーフローを確立し、人間とボットの行動パターンを見分けるため、センサーデータを使用しての分析を行います。この導入とテストに約1ヶ月間かかります。その後、検知とモニターする内容が確定し次第、機械学習を開始させ、アプリ内における人間の行動データを分析しボットの検知を始めます。導入を決める前に2週間ほどデモの体験もしていただけます。

なお、SDKに関しては、今後はUnbotifyのSDKをAdjustに統合していく予定ですので、既にAdjustを導入頂いているクライアント様に関しては、AdjustのSDKをアップデートするだけで良く、別々にSDKを入れる作業が不要になります。

ー機械学習に必要な期間はある程度決まっているのでしょうか?

ヤロン氏:アプリ(ゲーム)の規模や取得できるサンプル数に応じて異なります。我々はそれぞれのアプリに対し、カスタムメイドでソリューションを提供しますので、機械学習に必要な期間は変わってきます。

 

ー最後に、日本のアプリ開発企業に向けてメッセージをお願いします

ポール氏:今回我々がリリースした『Unbotify』は、PvPのゲームをはじめ、Eコマースのアプリ、スパムがあっては困るようなSNS・マッチングアプリなどに有効なソリューションです。お客様のアプリの特徴とアプリ内のユーザー行動に応じてソリューションをカスタマイズし、アプリがボットに悪用されるのをリアルタイムで検知します。

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■公式ホームページ:https://www.adjust.com/ja
■公式Facebook:https://www.facebook.com/adjustJapan/
■『Unbotify』製品ページ:https://www.adjust.com/ja/product/unbotify

※製品ページよりデモの申込みが可能。

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