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「Google Play ベストアプリ2018」を受賞したタクシー配車アプリ『JapanTaxi』は、昨年末には累計600万ダウンロードを突破し、初の全国TVCMも放映されるなど大規模なプロモーションを展開。今回のインタビューではJapanTaxi株式会社のマーケティング部・中川 祥一氏と佐藤 絵理氏に、2018年のアプリマーケティング戦略を振り返って頂き、お話を伺ってきました。
目次
ーまず最初に、アプリの現在の状況について教えて下さい。
中川:『JapanTaxi』アプリはタクシーの配車と決済ができるアプリで、数字で表すとユーザー数と配車台数ともに日本最大のプラットフォームです。アプリは2018年1月の段階で400万ダウンロードを達成し、直近1年間で更に200万以上ダウンロードを伸ばしています(2018年11月時点で600万DL突破)。ローンチしたのは2011年になりますが、ここ1~2年でユーザーの方にDLされるスピードが上がってきていますね。
また、ユーザープラットフォームとしての成長だけでなく、我々は配車プラットフォームでもあるのでタクシー会社側とのネットワークに関しても規模を拡大しています。タクシーの契約台数でいうと約7万台と、これは日本国内の法人タクシーにおける約3分の1にあたります。
▲2018年6月時点で累計500万DLを達成(提供:JapanTaxi)
ーマネタイズはどのような仕組みになっているんでしょうか?
中川:主に配車手数料になります。ユーザーから直接ではなく、アプリ経由での送客に対しタクシー会社から手数料を頂いている形です。
ー現在、アプリに関わるメンバーは何名くらいになりますか?
中川:JapanTaxi全体で100名を超えたところで、6割近くはエンジニアになります。新規事業・マーケティングに関わっているメンバーは17名程、僕らのいるマーケティングチームはカバーする領域が広いので、多機能化して人数を増やしているところです。
2018年の10月からデジタル広告の領域をインハウス化しまして、広告の戦略から運用をはじめクリエイティブまで自社で行うようにしました。オフラインメディアはまた別で、TVCMの制作やマーケ視点でアプリの機能開発ディレクションを担当しているメンバーもいます。
ーインハウス化した一番の理由とは?
中川:やはりスピード感ですね。新しいサービスも含め徐々にプレイヤーが出揃ってきていると感じているなか、後手に回ってしまうことを避けたかったのでそれであれば内部に機能を持って自分たちでやろうと内製化に踏み切りました。
▲中川 祥一氏(JapanTaxi株式会社 マーケティング部)
ーユーザーがダウンロードしているのか、流入経路について教えて下さい。
中川:広告経由もありますが、一番多いのはオーガニックによるストア経由になります。7年近くサービスを継続しているなか、ストアのカテゴリでも常に上位に出てくるので、多くの方の目に留まっているんじゃないかと思います。
ーユーザー層はどういう人達になりますか?
中川:我々が当初よりコミュニケーションターゲットとして狙っていた30~40代男性のビジネスパーソンが中心になります。しかし実際ユーザーの男女比でいくと6:4で、ビジネスパーソンとは別の利用者層がいることに最近気が付きました。
ー女性ユーザーの割合が多いのは確かに意外ですね、男性ユーザーと違いはありますか?
中川:女性ユーザーの場合、まずボリュームゾーンが20~30代に変わってきます。インタビューなどで利用目的を聞いてみると「子供を病院に連れていく」だったり「真夏の暑い時期に1メーター程度の距離だけどタクシーを使う」等、若干男性とは違う利用シーンが見えてきました。我々としても、これを踏まえて今後コミュニケーション戦略を変えていこうという考えを持っています。
ーアプリでタクシーを呼ぶ割合は全体のどれくらいですか?
中川:東京都内のデータでみると全体の90%が流しか乗り場、残りの10%が電話やアプリでの配車になるのですが、この10%における電話・アプリの内訳が最近逆転しました。日本交通においては配車のうち70%がアプリ、しかも面白いことに電話での配車量は一定変わっていないので、アプリによる注文分が増えているという状況です。
アプリの利用を伸ばせている要因の1つとしては、車内のタブレット端末経由でユーザー自身で決済可能な「JapanTaxi Wallet(ジャパンタクシーウォレット)」があります。アプリでタクシーは呼ばないが、決済だけアプリを利用するユーザーが意外と多いんですよね。実際に、日本交通では支払手段として非現金の割合が半数を超えています。
また、東京都の一部地域で初乗りが730円が410円に値下がりしたことを皮切りに、短距離でのタクシー利用者が増えているので、そういった需要を開拓できたことも要因として考えられるかと思います。
▲タブレット端末で乗車している間に支払い手続きが可能な「JapanTaxi Wallet」
ー2018年はTVCMを打つなど、大規模なプロモーションに踏み込んだ年だったと思いますが、実施するタイミングについては予め計画されていたんですか?
中川:TVCMについては以前からずっと検討していました。ユーザーを増やすにあたってタクシーの配車台数をある程度確保したタイミングであること、あとは時期的にいつやるのか。今回は11月~12月の繁忙期を迎えるタイミングに実施しましたが、当初は夏頃あるいは閑散期にやってみようという別案もありました。
ーCMを閑散期にやろうと考えた理由とは?
中川:繁忙期にCMを打ってユーザーが急増したことによってタクシー会社が注文を受けきれなかった場合、ユーザー体験的に良くないよねという議論をしました。しかし、競合の存在やアプリでタクシーを呼ぶ事自体の認知がまだまだ低いという現状も踏まえ、最終的には認知を徐々に上げながら繁忙期を迎えられる時期(11月~12月)に落ち着いた形です。
ー実際にやってみてCMへの反響はどうでしたか?
中川:放映期間中、アプリをインストールしてから登録~注文の動きが見られたので効果があったなと思います。あとユーザーだけでなく我々はプラットフォームなのでタクシー乗務員さんからも良い反応を頂きました。
佐藤:ターゲットよりも少し上の世代の方をキャスティングしました。タクシー配車アプリの認知率がまだ低いなかで市場を広げていくのと同時に、『JapanTaxi』アプリを知ってもらう必要があったので、「こういう人でもスマートにタクシーが呼べる」という内容になっています。
▲佐藤 絵理氏 (JapanTaxi株式会社 マーケティング部)
ーユーザー体験の話がでましたが、大規模プロモーションを行う前にアプリ側で注力したことはありますか?
中川:戦略的に2018年は外部連携にも力を入れてきました。昨年から実装していたGoogle Mapsに加えLINE Clova、Yahoo!乗換案内など外部サービスとの連携を強化したことにより土壌が整ってきたことも、大規模プロモーションのタイミングを決める判断要素にはなりました。
▲2018年12月より『Yahoo!乗換案内』との連携をスタート。2019年2月28日まで『JapanTaxi』アプリで使用できる1,500円クーポンを『Yahoo!乗換案内』内にて配布中
ー交通広告も展開されていましたが、どういった効果が見えましたか?
佐藤:5月に新宿駅で展開したプロモーションではアプリで使えるクーポンコードを配布したのですが、歩きながら目に入る駅構内の広告よりも、ユーザーにとって接触時間がある程度確保できる車両内広告の方が反応が高かったですね。
中川:クーポンにおいては滞留性のある場所で効果があったのに対し、認知の側面では前者の効果もあったので、使い方次第なのかなと感じています。試行錯誤しながら施策を通して知見を溜め、目的に応じてプロモーションを展開できるようになってきました。
▲東京メトロ丸の内線新宿駅構内にて巨大ピールオフ広告を展開(提供:JapanTaxi)
佐藤:これまでデジタル広告やタクシー車内でのコミュニケーションが中心で、オフラインメディアはほぼやってこなかったので、交通広告以外にもポケットティッシュの配布や一般家庭向けのポスティングなどを実施しました。
中川:クーポンコード付きのポケットティッシュをタクシーの乗務員さんが配るというアナログな手法なんですが、普段からタクシーを利用する層にアプリを周知することが一番効率が良いと思っていて、実際にそこからの流入も一定数取れています。マーケティング全体の予算としては、デジタルをベースにやりながらオフラインでも効果が良いものは継続して実施しています。
ー弊社の提供する「Appliv PR Trigger」もご活用頂き、ありがとうございます。具体的にはどのように活用されましたか?
中川:主に広告で活用させて頂きました。東京駅の新幹線利用者を狙った広告を展開した際、「ビジネスパーソン利用率No.1」という言葉を大きく打ち出しました。
Appliv PR Triggerとは
アプリ認知拡大&利用促進を実現する、ナイルによる新しいプロモーション商品です。「顧客にどんなメッセージを届けるべきか」を基に、インターネットリサーチや市場調査などによってサービスの強みを最大限活かせる訴求点を開発しています。
ー当初導入しようと思った狙いを改めて教えてください。
中川:元々、ビジネスマンに使ってもらっている感覚は持っていましたが、第三者の視点から客観的に証明する手段が当時なかったこともあり、PRに使いたいと考えました。プロモーション後に認知調査を行った際、東京駅利用者における認知率が大きく伸びたことから、ターゲットに非常に刺さるメッセージになったと感じています。
ー最後に、今後のサービスの展望についてお聞かせください。
中川:JapanTaxi全体でプラットフォームを拡大していく為に、セールスや開発が進める配車向上以外の部分を、マーケティングでいかに大きくしていくかという点が焦点だと思っています。今後も引き続き、利用者を増やしながらより良いユーザー体験を提供できるようアプリの機能改善を進めていく予定です。
ー本日はありがとうございました。
『JapanTaxi』開発:JapanTaxi株式会社
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